きょうだいが亡くなった場合の相続で気を付けるべきこと
「きょうだいが亡くなって他のきょうだいで相続する場合」は、「親が亡くなってきょうだいで相続する場合」に比べて、気を付けるべきことがたくさんあります。親が亡くなった場合に認められることが、きょうだいが亡くなった場合には認められないこともあります。ここでは、きょうだいが亡くなった場合の相続で気を付けるべきことを5つ紹介します。
きょうだいに遺留分はない
遺留分とは、相続人が最低限受け取ることができる遺産の割合であり、通常は、被相続人の財産の2分の1となります(相続人が直系尊属(両親、祖父母)のみの場合は3分の1となります)。遺留分は被相続人の配偶者、子、直系尊属にのみ認められていて、きょうだい姉妹には認められていません。
したがって、相続人が配偶者ときょうだいの場合、被相続人が「妻に全ての財産を相続させる」と遺言で指定すれば、きょうだいは遺産をもらうことができなくなってしまいます。見方を変えると、残された配偶者と自分のきょうだいが遺産相続でもめるトラブルを、遺言書によって防止することができます。
代襲相続は一代のみ(甥・姪まで)
被相続人より先に相続人が亡くなった場合は、亡くなった相続人の子が代わりに遺産を相続します。これを代襲相続といいます。親が亡くなって相続人である子もすでに亡くなっている場合は、孫が遺産を相続します。もし、孫も亡くなっている場合は曾孫が相続するというように、再代襲も可能です。
しかし、きょうだい姉妹が相続人になる場合の代襲相続は一代のみとなり、再代襲はできません。相続人であるきょうだい姉妹がすでに亡くなっている場合は、甥・姪は代襲相続ができます。甥・姪もすでに亡くなっている場合は、死亡した甥・姪の子は代襲相続ができません。
相続税が2割加算される
被相続人のきょうだい姉妹が遺産を相続したときは、相続税が2割加算されます。代襲相続で甥・姪が遺産を相続したときも同様です。相続税の2割加算は、被相続人の配偶者及び1親等の血族以外の人が遺産を相続して相続税を納めることになった場合に適用されます。被相続人の遺産は配偶者と子が相続することが多く、きょうだいが遺産を相続することは偶然性が高いことから、税額負担の調整が図られています。
収集する戸籍の量が多くなる
相続の手続きでは、被相続人と相続人の家族関係を確認するために、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本が必要です。被相続人のきょうだい姉妹が相続人になる場合は、さらに被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本も必要になります。両親の戸籍謄本が必要になるのは、父母のどちらかが異なるきょうだい姉妹(半血きょうだい)がいるかもしれないからです。戸籍謄本は制度の改正によって作りかえられることがあり、1人分の出生から死亡までの戸籍謄本は何通かに分かれることが通常です。きょうだい姉妹が相続人になる場合は、収集する戸籍が数十通にのぼることもあります。
全員が相続放棄すると相続人不存在になる
きょうだい姉妹が相続人になる場合で、相続人の全員が相続放棄すれば相続人不存在となります。きょうだいが相続放棄した場合は、次に相続人になる人がいないからです(相続放棄では代襲相続ができないため、甥・姪に相続権は移りません)。相続人不存在の場合は、相続財産清算人のもとで遺産を処分していきます。被相続人に借金があれば遺産から返済され、余った遺産があれば国に納められます。
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