(写真はイメージです/PIXTA)

24年初から運用が始まった新NISA。一定程度以上の貯蓄を積み上げていると考えられる50代以上の人がこの制度を利用する際、どんな投資対象を選択すればよいのでしょうか。本記事では、ニッセイ基礎研究所の熊紫云氏が、50代からの資産形成を始める場合に注意すべきポイントと新NISAの活用方法について解説します。

2―新NISA等で資産形成はどうするのか

一括投資で5年、10年、15年運用した結果を見てきたが、実際に、50代など投資期間があまり長くない人は新NISA等の税制優遇制度を活用してどのような投資対象を選べば良いのか。この章では、50代前半、50代後半と60歳以上に分けて説明していきたいと思う。

 

【50代前半】

一般的に50代前半の人は今後も働く期間が比較的長いため、15年や20年の投資が可能だと考えられる。米国株式型、先進国株式型、全世界株式型への15年以上の一括投資は、元本割れにはならない可能性が高い。

 

そのため、資金的に余裕がある人は、貯めてきた預貯金の一部を使って、米国株式や先進国株式インデックスに連動する商品に新NISAの成長投資枠で一括投資するのが良いと思う。勿論、同様な商品への積立投資を併用するのも良い。

 

万が一、資金的に余裕がない場合でも、今から老後資金などの準備を始めたい人は新NISAのつみたて投資枠で無理のない範囲で米国株式型等の外国株式型商品の積立投資を開始して長期に継続することが大切である。その上で、株価が大きく下落した際にでも、成長投資枠で一括投資することが良いと思われる。

 

【50代後半】

50代後半の人は多くの場合、10年程度の投資が可能だと考えられる。米国株式型、先進国株式型、全世界株式型への10年程度の一括投資だと、まだ元本割れの可能性がある。

 

既にある程度資産形成が出来ていて、十分に満足しているものの、それほど経済的に余裕があるわけではない人、あまり投資経験がなく自信がない人、元本割れのリスクを取りたくない人は預貯金、個人向け国債などを活用すべきである。

 

無理してまで新NISAを活用する必要はない。一方で、資金的にかなり余裕があり、投資経験が多少ある場合は、もし運が悪く、投資終了時期に金融危機などに遭遇し、投資元本が一時的に毀損しても、時価回復まで待つことができるので、米国株式型等の外国株式型インデックス連動商品に新NISAの成長投資枠で一括投資しても良いと思う。

 

【60歳以上】

60歳以上の人は定年等までだと5年程度の投資が可能だと考えられる。投資期間が5年だと、短期的な価格変動リスクにさらされるため、資金的に余裕があまりない人や投資経験があまりない人は、積極的にリスクをとることはお勧めしない。

 

無理に新NISAを活用するより、預貯金や個人向け国債等、元本割れのない投資対象に投資したほうが無難である。

 

一方で、資金的に余裕がある人や投資経験が豊富な人は、年齢と関係なく、時価が回復するまで待てたり、経済状況の見極めができたりするため、新NISAの恩恵を最大限に生かすために、米国株式型等の外国株式型インデックス連動商品に新NISAの成長投資枠で一括投資すれば良いと思う。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2024年1月19日に公開したレポートを転載したものです。

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