現在の雇用マインド指数・将来の雇用期待指数
中国ではこの時期になると、大学生・大学院生など新卒者の就職が話題となる。昨年は「卒業=失業」と言われるほどの就職難であった。国家統計局は、2023年6月の都市部における16~24歳の失業率は過去最悪の21.3%と発表、それ以降、調査方法を見直すとして数値の発表を一時停止した*1。今年の新卒者は過去最多の1,179万人の見込みで、昨年に引き続き厳しい就職戦線となりそうだ。
新卒者がこれから立ち向かう労働市場(全体)をみても、楽観視できる状況にはない。中国人民銀行の調査によると、雇用に関する現在と将来のマインドは基準値である50%を下回り、大きく下降している(図表1)。また、就職のしやすさに関する印象(調査時点)も、就職が難しい・就職難(分からないを含む)が大きく上昇している(図表2)。
希望する今後の進路/就職希望の企業形態
近年の新卒者の特徴には、(1)ニート希望の増加、(2)安定志向の高まりがある。大手就職サイト智聯招聘が新卒者を対象に毎年行っている調査(「大学生就業力報告」)によると、2024年は更にその傾向が強そうだ。図表3は2020年から2024年における新卒者が希望する進路の推移を示したものになる。
それによると、2024年は企業(政府機関・政府系外郭団体を含む)への就職を考えているのが全体の55.5%で、これは4年前と比較すると20.3ポイントも減少している。その一方で増加し続けているのが「現在のところ、就労・就学とも考えていない」とする、いわゆるニートである。ニートはこの4年間で12.9ポイントも増加し、19.1%に達している。無理して就職をせず、理想の仕事が見つかるまでは親に頼って生活をするというものであろうが、熾烈な競争が展開される中で、そこからあえて離脱する傾向が強まっているのも事実である。
企業へ就職を希望している者のうち、希望する企業形態を聞いたのが図表4である。それによると、この4年間で安定した国有企業、政府機関への就職希望は増加しており、全体の62.4%(国有企業47.7%、政府機関14.7%)にのぼっている。その一方で、昨今の経済状況からも中国系民間企業への就職希望は減少し続けており、2024年はわずか12.5%と1割ほどとなった。
このように、新卒者の進路意向においてはおよそ55.5%が企業への就職を希望するものの、企業への就職希望は大きく減少している。企業への就職を希望するとしても、そのおよそ6割が国有企業・政府機関に集中し、競争の更なる激化がうかがえる。この熾烈な競争を避けるようにニート希望は2割まで増加しているが、その状態が継続されれば、若年層の失業率の上昇を引き寄せることにもなる。
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