金利高止まりは「悪いこと」ではない
このように考えると、現在進行中の金利上昇と金利高止まりは良いことであるとの結論に至る。過去50年間の金利趨勢を振り返ると、金利上昇は悪いこと、金利下落は良いこととの感覚が続いてきたようである。
1970年代の金利上昇は悪い金利上昇であり、インフレ、政府の信認の低下、ドル不安等が起こってリスクプレミアムが高まり金利が上昇し株価は低迷を続けた。
[図表10]により物価上昇率でデフレートさせた実質NYダウ指数を見ると、金利上昇が始まった1966年をピークに1982年のボトムまで17年かけて75%下落と、大恐慌並みの下落となった。まさに悪い金利上昇であった。
これに対して1981年以降の40年間の長期の金利低下はインフレの低下、貯蓄余剰の高まり、それに伴うリスクプレミアム低下による良い金利低下だった。実質株価は1982年から2022年までの40年間に32倍(年率9.1%)となった。しかし金利上昇は悪、下落は良と単純に決めつけることはできない。
[図表11]に示すように、いまの金利上昇が潜在成長率の高まりによるものだとすればそれは良い金利上昇である。成長率が高まり、中立金利が上昇している下で、低水準の政策金利を維持し続ければ、インフレや資産バブルの恐れが高まる。FRBはインフレ懸念が去っても、高金利を維持しなければならない。
これがFRBのHigher for Longerの真意であるとすれば、いまの金利高は株高要因といえる。
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