日経平均株価35,000円突破で「34年ぶり」高値…今年の日本株は「さらなる上昇が期待できる」といえる理由【専門家が解説】

日経平均株価35,000円突破で「34年ぶり」高値…今年の日本株は「さらなる上昇が期待できる」といえる理由【専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

新年早々、震災や日航機炎上事故と不穏な空気の漂う日本ですが、1月11日(木)には日経平均株価が34年ぶりの水準となるなど、株価は上昇しています。一体なぜなのでしょうか。株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏が詳しく解説します。

「世界の劣等生」だった日本が一転、“ブライトスポット”に

世界的な不安の種が大きければ大きいほど、日本の明るさが浮上する、という珍しい事態が起きている。

 

過去30年間日本は世界の劣等生であり続けた。世界で唯一長期デフレに陥り、名目GDPは30年間の長きにわたって500兆円強と横ばいで推移し続けた。世界で唯一30年にわたって賃金上昇が止まり、韓国にも追い抜かれるという有様であった。

 

世界株式のバスケットであるMSCIACインデックスのなかで、かつて40%を超えていた日本の比率は5%とほぼ10分の1まで低下した。

 

この間世界の投資家は日本株を売り続け、日本株比率を引き下げれば運用競争に勝てたのである。日本人だけでなく、世界の投資家にも日本軽視、日本無視の態度が染みついてしまっている。

 

その日本が突如として世界最高のスポットになりつつある。2023年の株価上昇率を見ると、日経平均株価の+28%は、米国S&P500+24%、ドイツDAX+19%、英FT100+4%、中国上海総合-4%、韓国総合+19%と主要国株価のなかで突出している。

 

[図表1]主要国株価指数の推移(2023年初以降と2009.3.9以降)
[図表1]主要国株価指数の推移(2023年初以降と2009.3.9以降)

 

日本の明るさの背景にある「2つ」の大変化

1.主体的変化

いったい日本になにが起きたのであろうか。2つの大変化に注目するべきである。

 

第1は主体的変化である。2013年以降のアベノミクスの時代に、日本企業と経済は大きく体質を改善させた。

 

企業は改革と新ビジネスモデルの構築により、利益率は2倍になり、過去最高利益を更新し続けている。公的年金GPIFの運用益は108兆円と4倍増となった。税収は10年間で7割増となった。遅れていた賃金上昇も始まり、2%インフレが視野に入りつつある。

 

多くの日本企業は物まねではない独創的なビジネスモデルを打ち立て、企業統治の改革が大きく前進し、株主の要請にこたええる収益力を確保するに至っている。この企業で形成された価値は、いまのところ潤沢な内部留保として、退蔵されている。

 

この企業に滞留する所得の還流を促進するべく、岸田政権は、貯蓄から投資へという好循環を引き起こす、新しい資本主義政策を遂行している。

 

1)賃金引上げ促進

2)PBR1倍以下企業の是正措置要求、自社株買い、増配促進等利益還元の誘導

3)NISA改革

 

など投資促進により、日本株の株式需給は大きく改善されるだろう。

 

2.地政学環境の大変化

第2に外部環境、日本を巡る地政学環境の大変化がある。米中対立が深刻化し、かつて日本たたきに狂奔した米国が、対中デカップリングのために強い日本を必要とし、そのための円安を容認するようになったのである。

 

過去30年間に中国+アジアNIES(韓国台湾香港)の台頭が顕著であったが、それは日本の競争力衰弱によって実現した。

 

この1人被害者日本の状態が逆転する。大幅な円安の定着により、日本経済の大きな枠組みが変わった。円高が原因となったデフレの時代が終わり、2023 年の日本経済はバブル崩壊後最も明るい数量景気の年となったが2024年はそれが加速するだろう。

 

Jカーブ効果により円安初期の価格面でのマイナス場面が終わり、数量増の乗数効果が表れる後半の時期に入っている。円高で日本から海外に逃げて行った工場や資本、ビジネスチャンス、雇用が、円安によって日本に戻ってきつつある。企業収益、設備投資空前になった。半導体ブームがいっそう進行し、TSMC熊本では第三期拡張が決まったようである。

 

円安はまた、インバウンドを増加させ、外国人観光客が日本の津々浦々の地方内需を刺激している。

 

[図表2]購買力平価とドル円レート推移
[図表2]購買力平価とドル円レート推移

 

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    ※本記事は、武者リサーチが2023年12月30日に公開したレポートを転載したものです。
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