大リストラで生産性を高め、企業収益を押し上げた
2022年後半スマートフォン普及一巡でいったん終わったと思われていたハイテク革命が再び加速し始めた。2023年初頭にはインターネットプラットフォーマーはじめハイテク企業でリストラの嵐が吹き荒れた。
このリストラはハイテク企業の新技術による労働代替を加速し、一段と生産性を高め、企業収益を押し上げたようである。雇用拡大が全産業で続いているなかで、情報産業だけ雇用が減少していること(前掲図表2)は、ハイテクでビジネスモデルが進化していることを物語る。
[図表7]にみるように、コロナ前からのGAFAMのキャッシュフローを吟味すると、
1.2022年の落ち込みはコロナ巣ごもり特需の反動に過ぎなかったこと
2.この不況を口実に大リストラを実施したこと
3.同時に研究開発費を著増させ表面利益を抑えたこと
4.2022年4Qから鋭角的売上利益増加が始まっていること
がわかる。Magnificent 7の株価は2022年の大幅下落(ほぼ30%)の反動に加えて、この利益回復を織り込んでのものである。
コストダウンと販価上昇のダブルメリット
またハイテク企業は独占的地位を利用し、販売価格を押し上げている。ChatGPTなどの生成AIに必須の半導体GPUを独占するNVIDIAはその高額販価によりTSMCやインテルを引き離し半導体業界売上高首位に躍り出た。
知的財産権が価格支配力を生み、価値はそれによって決められていく。他方技術向上は生産性を上昇させコストダウンをもたらす。この価格支配力とコスト低下の相乗作用がインターネットプラットフォーマーなどハイテク企業の衰えない利益成長力を支えている。
GAFAM5社の税引き利益は2024年には4,000億ドルに達するとみられるが、それは日本の法人企業全体の利益額にほぼ匹敵する。
また世界株価指数であるMSCIACインデックスの構成割合をみるとM7は17%と、日本、フランス、中国、英国の合計の15%を上回っている(WSJ12.18.23)。
M7の株式時価総額の大きさがうかがわれる。このように巨大化した「第7大陸」が依然として指数関数的成長を続けている事実はもっと重く受け止められるべきだろう。
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