絶好調の米国景況にみられる「3つの特徴」
米国経済は絶好調、2023年は年間で3%近い成長になるだろう。IMFの1年前予想に対しては2ポイントの上振れであり、利上げにより減速不可避とのコンセンサスは見事には否定された。
なぜか、米国でIT技術の深化による産業革命と経済の構造転換が起こり、潜在成長率が底上げされている、という仮説を立てざるを得ない。
現在の米国景況に関して3つの特徴が指摘される。第1は消費と雇用の好循環が続いていること。経済を引っ張っているのは消費、その消費を支えているのは堅調な雇用というポジティブループが起きている。本来遅行指標である雇用が先頭で経済を引っ張っている。
第2に好調な雇用は企業における価値創造の好調さによって支えられている。生産性が高まり賃金上昇分を吸収してもなお労働分配率は低水準で、企業の潤沢なキャッシュフローが確保されている。
第3に「大きな政府」への転換、政府の財政支出が効いている。コロナ禍の下での家計給付金に加えて、CHIPS法やIRAなどの産業政策により、財政資金を投じて産業振興が行われている。
以上の3要素は、構造的な要因である。米国経済の好調さはその構造要因によって潜在成長率が高まったためだと考えるべきではないか。
サイバー世界の「新産業革命」を牽引する米国
「第7大陸」はほとんど米国企業が独占
インターネットやAI、ロボットなど、サイバーの分野で歴史的技術変革が起きている。このサイバーの世界は国境がない、いわば「第7大陸」で、誰でも利用者としても企業としても瞬時に入れる知恵の世界である。
この「第7大陸」をほとんど米国企業が独占している。世界最大のBright Spotはインドでもグローバルサウスでもなく「第7大陸」、そのBright Spotを米国がほぼ独り占めしている。
2023年(12月15日まで)1年間の株価パフォーマンスを見るとS&P500指数は23%上昇であるが、米国テクノロジー7社、Magnificent 7(荒野の7人:グーグル・アップル・マイクロソフト・メタ・アマゾン・テスラ・エヌビディア)の合計株価が75%と突出し、それ以外の493社は12%と大きな格差がついている。
この株価動向から米国には2つの経済領域があるということが読み取れる。ひとつは新産業革命を牽引しているサイバー上の成長経済圏、もうひとつは、他国と同じくほとんど成長をしない一般経済圏、この「第7大陸」での価値創造が米国経済の構造を大きく変えている。
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