日経平均株価「史上最大の暴落」は「秋からはじまる株価上昇」の予兆!?…今後の日本株式に期待できるこれだけの根拠【経済の専門家が解説】

日経平均株価「史上最大の暴落」は「秋からはじまる株価上昇」の予兆!?…今後の日本株式に期待できるこれだけの根拠【経済の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

8月5日に起きた日経平均株価の「史上最大の下落」は、マーケットを驚かせました。値動きの荒くなった株式相場に対して「いまは投資を控えるべきか」と迷っている人も少なくないでしょう。しかし、この大暴落が、実は「今秋から来年への株価上昇の跳躍台」となるかもしれないのです。いったいどういうことか、株式会社武者リサーチの武者陵司氏が詳しく解説します。

株価暴落によって“一段と魅力的”になった日本株式

2024年初め以来の米国と日本の株式市場において高まっていた楽観論には、違和感を抱く人が多かった。8月初めの円急騰・日本株暴落と米国株式の一定の下落は、この違和感の正当性を検証するものとなった。

 

違和感とは、①日本株高は日銀の誤った過剰金融緩和によってもたらされたバブルであること、②日銀が過剰金融緩和政策を止めることでバブルが萎むことの2点である。

 

しかし株価のV字回復(日経平均は25%、10,700円の暴落の後5日間でほぼ半値戻しを達成―終値ベース)により、違和感が正しくはなかったことが明らかになりつつある。株価暴落により日本株式は一段と魅力的になっている。

 

好調な企業業績、急激に魅力度を強めた株式バリュエーションは、日本株を持たざるリスク(FOMO)を感じている全投資主体には、良い買い場を提供しているのではないだろうか。むしろこの暴落が今秋から来年への株価上昇の跳躍台となる可能性があることを、考えてみたい。

 

出所:ブルームバーグ、武者リサーチ
[図表1]主要国株価指数の推移(2023年初以降、2009.3.9以降) 出所:ブルームバーグ、武者リサーチ

株価の大暴落が「大相場の始まり」と考えられる理由

①拙速な利上げは封印され、安倍=黒田リスクテイク支持路線の堅持が表明された

7月31日の日銀の拙速な利上げと、植田総裁によるタカ派スタンスの記者会見は人々を驚かせ、直後の株価暴落を引き起こした。日銀は市場(=株価)重視の政策運営をすることの緊要性を思い知らされたとみられる。これにより今後性急な金融引き締めが封印されることは間違いない。

 

8月7日に内田日銀副総裁は「市場が不安定な状況で利上げすることはない。時期は選べる(behind the curveに陥っていない)。わざわざ危ない時に利上げしない。中立金利(引き締めでも緩和でもない中立水準の金利)は手探りで探すしかなく時間をかけて求め続ける余裕がある」と述べて、植田総裁の前のめりの利上げ発言を修正した。

 

日銀内で最も影響力を持つと見られている内田氏のコメントにより、日銀が安倍・黒田リスクテイク支持路線を継続していくことがほぼ確かとなった。米国では「グリーンスパン・プット」「バーナンキ・プット」など市場が急落する場面で、中央銀行が金融を緩和して市場を支えた事例が頻発したが、日本もそうした時代に入りつつあるのかもしれない。

 

出所:ブルームバーグ、武者リサーチ
[図表2]日銀の政策変化と長短金利推移 出所:ブルームバーグ、武者リサーチ

 

杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>

次ページまだまだある!今後の日本株式に期待できる根拠

※本記事は、武者リサーチが2024年8月14日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧