「景気拡大・インフレ鈍化・利下げ」のバラ色シナリオ
2024年に0.75%の利下げを見込む
[図表3]に示すとおり、米連邦準備制度理事会(FRB)は、経済成長率とインフレの鈍化に合わせ、2024年中に金融緩和に転じる見込みです。
2023年12月時点のFRBによる最新見通しによれば、FRBは2024年に0.75%、2025年に1%の利下げをそれぞれ実施する見込みです。
FRBが想定する「米国景気の拡大、インフレの鈍化、金融緩和」は、金融資産にとっての『バラ色シナリオ』です。2024年も、金融資産にとって良好な年になる見込みです。
ただし、さまざまなリスク要因や注意点があるため、幅広い資産への分散投資が必要と思われます。
米国景気にある「上振れリスク」…さまざまなシナリオに備えて分散投資を
[図表4]に示すとおり、米国では高めのインフレが持続したり、景気が再過熱する可能性も残されます。
【左の図】に示す「粘着価格・消費者物価指数」の「3ヵ月前比・年率」をみると、インフレ率は足元で上向きになっています。「粘着価格・消費者物価指数」は、将来のインフレ期待をより明確に表すとされる物価指数です。
また、「前年比」ではなく、「3ヵ月前比」で計測することで、「足元のスピード」を確認できます。インフレ率は「前年比」では鈍化してみえても、「上向きの勢い」は保たれている可能性があります。
【右の図】に示す「OECD・米国景気先行指数」は、景気循環の転換点を把握するため、実体経済に先行して動く指標を合成して作られる指数です。「100」が長期の成長トレンドの水準を示します。これに従えば、米国景気はすでに「底打ち」をし、「景気回復」に転じている可能性があります。
幅広い金融資産にとって米国景気が強いことは望ましいことですが、その分、金融緩和が遠のき、政策金利が高止まりして、市場金利が上向きに転じるリスクがあります。
「2024年は概して、多くの金融資産にとって良好な年である」と考えられるものの、高金利がもたらす変動性にも備えておくことがよいでしょう。
重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
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![[図表4]粘着価格・消費者物価指数(3ヵ月前比、年率)/OECD・米国景気先行指数](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/9/9/540/img_99efe5503229f1d7f5303b37ec698ca1187020.jpg)