2024年も米国は「景気拡大」が続く見込み
[図表1]に示すとおり、米連邦準備制度理事会(FRB)によれば、2024年も米国経済は成長が続く見込みです。
現在の米国の労働市場は完全雇用の状態であり、米国経済は「フル稼働」での生産が続いています。人口の伸び鈍化や早期リタイアの増加で、企業は人材の獲得・維持に苦戦しています。反対に、家計の賃金は上昇し、所得は増加しています。
所得の増加を追い風に、個人消費は拡大が続いています。また、株式市場などの資産価格の上昇も、個人消費の支援材料です。あわせて、国内総生産(GDP)対比でみた家計債務残高は、2007~08年の世界金融危機をきっかけに低下傾向をたどっており、家計のバランスシートは健全です。
一時期、前年比で下落していた全米住宅価格は、このところ、上昇に転じており、住宅市場には持ち直しの動きがみられます。
“やっかい者”のインフレは鈍化か
[図表2]に示すとおり、米連邦準備制度理事会(FRB)によれば、2024年の米国のインフレ率は鈍化する見込みです。
半導体や自動車など、2020年以降の新型コロナウイルス禍がもたらした生産のボトルネックは、その多くがすでに解消されています。また、2022年以降のロシアによるウクライナ侵攻がもたらしたエネルギーや農作物の供給不足についても、徐々に解消されつつあります。
加えて、2022年からの主要国での大幅な利上げにより、(供給能力に比べて過大であった)需要が抑制されてきました。
供給制約の解消と需要の抑制により、インフレ圧力は収束しつつあります。