(※写真はイメージです/PIXTA)

国外では地政学的緊張が高まるなか、国内では個人消費の低迷が続いています。日銀は「金融引き締め」に向かっているようですが、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏は2024年の為替相場と国内株式をどのように予想しているのでしょうか。それぞれの「予想レンジ」とその根拠をみていきます。

2024年のドル円レンジは「140~155円程度」か

筆者は2024年のレンジとして「140~155円程度」と考えています。

 

米国の利下げは来年“ゼロ”の可能性も

まず、短期金利差についていえば、日本については、短期金利を引き上げるとしても2024年中に1回か2回にとどまると考えています。

 

他方の米国については、筆者は「3年程度の景気サイクルの底打ち」+「インフレ圧力の持続」もあるため、米連邦準備制度理事会(FRB)が示す12月の四半期見通しにかかわらず、利下げは1度もない可能性もあり、あるとしても来年の終わりに1~2回程度だと考えています。したがって、日米金利差は円相場に大きな影響を与えないと考えています。

 

また、長期金利差についてもさほど変わらないと考えています。

 

簡単にいえば、日本の長期金利は米国につれて動くため、「米国の長期金利は低下しているが、日本の長期金利は上がっている」という状態は長続きしないでしょう。

 

先月には日本の長期金利は(米金利の低下に合わせて)0.6%台まで低下しました。あれをみた邦銀や生保などは「買い場を逸したと感じると同時に、安堵したのではないか」と筆者は考えています。

 

(過去にも何度かそうしたショックがあったために)当初は、彼らのあいだに「長期金利のペッグやバンドを外すと、長期金利の上昇に歯止めがかからなくなるのでは……」という一抹の不安があったかと思いますが、本邦の機関投資家は「次に1%に近づいたら買いだ」と思い直している可能性があります。

 

もちろん、彼らがもっとアグレッシブな金融引き締めを予想しているのなら、筆者のこの考えは間違っていますが、大幅な利上げは財政と日銀の信用を、そして長期金利の大幅な上昇は、日銀と市中銀行のバランスシートを痛めます。

 

加えて、資本フローについても、日本企業が海外への直接投資を止めたり、海外に滞留させている外貨を円に換えたり(→国内の設備投資は、国内で低金利で調達するでしょう)、あるいは日本の個人投資家がNISAでの積み立てを止めて外国株式の投資信託を売ったりする動きがネットで見て優勢になる可能性はかなり低いと考えられます。

 

また、外国人による日本株式買いは増える可能性がありますが、ドル・ヘッジをして短期金利差(キャリー)を得ながら日本株式に投資をすることも有望な選択肢です。

 

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