「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

毎年非課税で贈与できる110万円の範囲内で、子や孫に生前贈与しようとする人は多いでしょう。しかし、誤ったやり方での贈与は、のちのち税務調査で掘り返されてしまい、ペナルティを受けてしまいます。本記事ではAさんの事例とともに、生前贈与の注意点について、税理士事務所エールパートナーの木戸真智子税理士が解説します。

「生前贈与」のつもりが「名義預金」にみなされたワケ

生前贈与加算分を申告していたとしても、名義預金と判断されたとなると、15年分の贈与が相続申告漏れとなります。今回は毎年孫2人に100万円ずつ贈与していましたので、合わせて3,000万円が申告漏れとなってしまいました。

 

今回、Aさんは銀行員によるアドバイスのもと、生前贈与を実行しました。注意すべきは、銀行員は、定期預金や投資信託などの営業にはとても積極的ではあるものの、税務的なアドバイスは基本しないことが多いということです。

 

相続税は受け取る財産額によって税率が変わります。今回の相続税申告では30%の税率であったため、本税合わせて約900万円の追徴課税となりました。税務調査があった場合、税務署は本人の承諾がなくても預金口座を調査できます。さらには、本人だけでなく、必要があれば家族の口座までが調査対象になることもあるのです。

 

税務署が過去10年間の財産を把握できるシステム「KSK」

金融機関は過去10年分の入出金データを保存していることが多く、税務署は過去まで遡って確認することが可能です。

 

調査の方法としては、国税庁や税務署では、税務署の専用システム「国税総合管理システム(KSK)」によって給与や確定申告のデータが登録されている納税者情報を管理しているほか、さまざまな資料情報を把握、蓄積しているため、そこに記録されている所得状況や預金の状況などを照らし合わせていきます。

 

これまでの蓄積された過去データがあるので、「相続税の申告をすべき人がしていない」となると、税務調査やお尋ねの対象となるのです。膨大なデータをもとに照らし合わせているため、高確率で発覚します。

 

これらにより不自然な預金の動きは、一目でバレる、という仕組みです。

 

「名義預金」とみなされるケース

ここで名義預金について解説をします。

 

名義預金とは本人が存在を知らない、もしくは管理をしていない預金のことをいいます。名義だけは孫でも祖母が管理していたら、それは祖母の預金とみなされてしまうのです。名義預金とみなされた通帳については、たとえ名義が孫であっても、祖母に相続が発生すると祖母からの相続財産とみなされます。

 

名義預金とみなされるのは多くの場合、下記のケースです。

 

1.本人が口座の存在を知らない。本人が管理していない。

2.預金残高が本人の所得状況と比べて不自然に多い。

3.口座の届出印が本人ではなく、親の印鑑になっている。

4.口座開設をした金融機関が本人の住所ではなく、祖母の住所の近くの支店になっている。

5.預金が預けられたままで口座の引き落としがまったくない。

 

これらにあてはまるような通帳であれば、名義預金となりますので、毎年110万円以下で贈与していたつもりでも、残念ながら贈与をしたことにはなりません。

 

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