地方で「競争する」ことの意味
都会のやり方を振り回さないということと関連して、大都市では当たり前とされている「ビジネスの常識」も疑ってかかることをすすめたい。
僕の会社「インフラマネジメント」と同じ仕事をしている会社を、僕は「競争相手」と思ったことはない。むしろ、他社のテリトリーに踏み込まないことを注意深く心がけている。簡単に言えば、「うちに発注してみませんか? 安くしておきますよ」という営業はやらないということだ(というか、営業自体をほぼやったことがないのだが)。
いつも頼んでいる〇〇社が忙しすぎて手が回らないのでというお客さんから、臨時に依頼がくることはある。その場合は、もちろん手が空いていれば喜んでやらせてもらう。でも、「次からは〇〇さんじゃなくうちで」とはならない。むしろ「〇〇さん大変ですね。また手が回らないときはお手伝いさせてください」という関係をつくりたい。
要するに競争をしたくない。現代日本は自由な社会で、資本主義社会で、となれば当然市場原理で、競争するのが当たり前ということになっている。本当にそうか? と思う。
僕の実感では、競争原理を働かせても何の得もない。他社よりも安い料金で営業をかけて、仕事をとったとする。競争に負けた他社が損をしただけに見えるかもしれない。実は自分たちも損をしている。しばらくすれば、そのお客さんは「よそはもっと安くするって言ってるけど、値引きできないの?」と言ってくる。
他県の業者が高知に進出してくる場合もある。実際、僕の会社に頼んでいたクライアントがそちらに流れることもある。ここで値引きをして対抗するか? 僕は絶対にしない。
「 『インフラマネジメント』は相見積もりをとれば値引きする会社だ」とレッテルを貼られるだけである。「よほど値引きをしたくないんだな」と思われたかもしれない。図星である。見積書を2回つくるなんて面倒くさくて勘弁してほしい。
ビジネス環境の変化が激しくて、毎月のオフィスの家賃だけでも莫大なお金が出ていく都会とは、地方はスピード感がまるで違う。大都市ではして当たり前の競争が、地方では「こんなところで勝ち負けを競っても意味がないよね」という話でしかなかったりする。
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