※画像はイメージです/PIXTA

民間企業が親が経営者である20代会社員に行った調査では、6割強が「会社を継ぐ気はない」と回答しました。。昔であれば親が経営する会社を子が継ぐことは当たり前でしたが、現在は、そういった意識が薄れつつあります。それでも経営者の子どもは、会社を継ぐかどうか、実際に継ぐことになったらどう経営すべきか、悩みは尽きないでしょう。そこで本記事では、親の会社を継ぐ場合のメリット・デメリットを中心に解説していきます。

親の会社を継ぐための準備

親の会社を継ぐタイミングには、一般的に以下の3つが挙げられます。

 

  • 親が引退する時
  • あらかじめ設定したタイミング
  • 親が亡くなった時

 

親が引退する時

ひとつ目のタイミングが、親が引退する時です。親の年齢や体調などに合わせて、子が会社を引き継ぐことになります。

 

このケースでは、事前にある程度の準備が出来るため、余裕をもって計画的に進めれば、無理のない事業承継が可能です。

 

あらかじめ設定したタイミング

例えば、「子が親の会社に入社して、役員として10年働いたら事業承継する」など、親との間で事業承継の時期の約束があれば、その時期が会社を継ぐタイミングとなります。

 

この場合も、実務経験や年齢などから逆算して、ちょうど良い時期を設定しておけば、スムーズな承継がしやすいでしょう。

 

親が亡くなった時

最後は、親が亡くなった後です。人がいつ死亡するかは、事前に予測できないため、子が承継するつもりであったものの、事業承継の準備が整わないうちに、親が亡くなることもあります。

 

すると、会社の引き継ぎと、相続の手続きなどを同時並行でおこなわなければならないので、かなり大変な状況になります。

 

遺言の文書で、事業承継に対する親の考え方が明確に残されていればよいのですが、そういうものがないと、親族間でのトラブルにもなりかねません。

 

そうならないように、子が後継者になると決まっているのなら、事業承継の準備は早めに進めておくことが肝要です。また、万一に備えて、会社をどのように承継させたいのかを文書で残しておくことも、親には求められます。

親の会社を継ぐために必要な3つの能力

経営者の子だからといって、誰もが企業経営者としての資質を備えているわけではありません。経営者として会社を運営していくためには、以下のような能力が必要です。承継を考える際には、果たして自分にこのような能力があるか、

 

また、今はなくてもそれを身に付けるための努力をすることができるかを考えることもポイントです。

 

  • 優れた経営能力
  • 卓越した実務能力
  • リーダーシップ

 

優れた経営能力

優れた経営能力とは、将来のビジョンを持ち、それを達成するための戦略を立案・実行する能力のことです。

 

こうした能力の多くは、実際の経営経験を積むことで身に付けられるものであり、まだ経営をしたことがない段階では備わっていません。

 

そのため、親の経営をよく見て、よく聞いて学ぶとともに、例えば、セミナーや書籍から学んだり、多くの経営者に会って話を聞いたりする機会を積極的に設けることが必要です。

 

卓越した実務能力

親の会社を継ぐためには、その会社の仕事内容を十分に理解し、ある程度の技術も身に付けておくこと、つまり実務能力も大切です。

 

そのため、通常は、会社を継ぐ前に、ある程度の期間は、一社員として働き、現場感覚を身に付けておくべきです。

 

実務能力が得られるだけでなく、会社を継いだ後で、従業員から「現場のことも知らないくせに」といった反発を受けることなく、コミュニケーションがスムーズになるでしょう。

 

リーダーシップ

経営者に必要な資質としては、リーダーシップも大切です。どれだけ優れた経営計画を策定できたとしても、周囲の人から信頼を得て、働いてもらえなければ、目標を達成することはできません。

 

「人に働いてもらうために、働く」というのが、経営者の仕事であり、それをなしえるのが、リーダーシップです。

 

リーダーシップは、天賦の才能ではありませんし、社長という立場であれば自然に身につくものでもありません。やはり、リーダーとしてどう考え、なにをすべきかを、学習によって身に付けなければならないのです。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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