※画像はイメージです/PIXTA

2024年4月1日から相続登記が義務化されますが、そもそも相続した不動産が登記されておらず相続人が分からない……というケースは珍しくありません。このような土地を「所有者不明土地」といいますが、まずは相続人を確定させることが第一歩。そこで相続人を探す「相続人調査」の方法をみていきましょう。

事例…遺産に明治時代から登記されていない不動産があるケース

叔父の相続です。叔父は生涯未婚で、私の父(叔父の兄)は既に他界しているため、叔父の相続人は私だけです。

 

 

 

父と叔父の家系には、何代も前から名義変更がされていない不動産があると聞いていましたが、叔父の相続手続に際し弁護士に調べてもらったところ、その不動産の登記は、明治時代以降、一切行われていないことが分かりました。

 

そして、登記名義人の相続人を調査してもらったところ、現在の相続人は、35名いるということが分かりました。

 

私には子供がいますので、この問題を下の代に引き継がせることなく、何とか私の代で解決したいと考えていますが、何を、どのようにすれば、この不動産の問題を解決できるのでしょうか?

※架空の事例です。

 

事例のように、相続登記が放置されているケースは少なくありません。そのような場合、まずは名義人の現在の相続人を調査したうえで、全相続人との間で遺産分割協議を行う必要があります。ケースによっては、時効取得を主張できる場合もあります。それでは以下で詳しく見ていきましょう。

「相続登記」がされていない不動産の法律関係

相続登記は、相続税申告と異なり、申請期限がありませんでした。また、相続登記には、固定資産税評価額の0.4%が登録免許税としてかかります。そのため、実際にその土地を売却する等の必要が生じない限り、相続登記を行わないということはよくありました。特に地方のあまり価値がない土地については、相続登記がされないまま放置されているケースが少なくありません。

 

相続財産である不動産の権利関係は、遺産分割が行われるまでの間、相続人間で各自の相続分に応じた割合で共有となります(民法898条)。これを遺産共有といいます。そして、遺産共有をしている相続人にさらに相続が発生した場合、その相続人が新たに遺産共有者となり、それ以降、遺産共有者に相続が発生するたびに、その相続人が遺産共有者となるというように、遺産分割を行うべき当事者がどんどん増えてしまいます。

 

このような、相続登記が未了のまま相続人にさらに相続が発生し、現在の相続人(遺産分割協議を行うべき当事者)が誰かわからないという不動産は非常に多く、所有者不明土地と言われ、現在社会問題となっています。

 

なお、所有者不明土地の総面積は、現在で九州全土の面積を上回るともいわれており、このまま放っておくと、北海道全土の面積にも達するといわれています。そこで、この所有者不明土地の有効活用を認めるための法律として「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が施行されるなど、所有者不明土地問題に対する対策が講じられています。

 

また、土地の所有者が不明となることを防止するため、2024年4月1日から相続登記が義務づけられます。相続登記の義務化は、同日より前に相続した土地も対象です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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