※画像はイメージです/PIXTA

民間企業が親が経営者である20代会社員に行った調査では、6割強が「会社を継ぐ気はない」と回答しました。。昔であれば親が経営する会社を子が継ぐことは当たり前でしたが、現在は、そういった意識が薄れつつあります。それでも経営者の子どもは、会社を継ぐかどうか、実際に継ぐことになったらどう経営すべきか、悩みは尽きないでしょう。そこで本記事では、親の会社を継ぐ場合のメリット・デメリットを中心に解説していきます。

親の会社を継ぐ際の注意点

親の会社を継ぐにあたり、注意すべき点もいくつかあります。その中でも特に重要なのが、以下の3点です。

 

  • 一度継いだら簡単に辞められない
  • 新しいビジネスモデルを構築しなければならない
  • パートナーや家族の理解が必要となる

 

一度継いだら簡単に辞められない

会社員という立場であれば、業務内容や職場が自分にあっていないと感じれば転職することもできますが、経営者はそういうわけにはいきません。

 

従業員やその家族の生活を守る責任がありますし、金融機関から融資を受けていれば、その返済の責任も負います。

 

良くも悪くも経営者は会社と一蓮托生の関係であることが多いだけに、「とりあえず会社を継いでみて、ダメだったら会社員に戻ろう」という考えなら、経営は止めておいた方がよいでしょう。

 

新しいビジネスモデルを構築しなければならない

技術革新や顧客ニーズの変化が進めば、既存のビジネスモデルでは収益をあげ続けることが難しくなります。

 

そのため、どの企業も存続をかけて常に新しい収益の柱を作り上げる努力をしています。

 

環境変化の激しい現代では、1つのビジネスモデルが通用する年数も段々短くなっているだけに、常に新しいビジネスモデルを模索して、構築する努力を続けなければなりません。

 

パートナーや家族の理解が必要となる

経営者は従業員とは立場が違うため、365日経営者であることが求められます。また、すでに述べたように、会社の資金調達の際には、通常は連帯保証人にもなる必要があります。

 

こうした状況は、パートナーや家族にも少なからぬ負担をかけることになります。

 

したがって、親の会社を継ぐ前に、パートナーや家族に対して十分な説明をした上で理解を得ておくことは、とても大切です。

円滑に会社を継ぐためのポイント

親の会社を円滑に継ぐためには、以下のポイントに注意しておく必要があります。

 

  • 会社を継ぐタイミングをあらかじめ決めておく
  • 後継者教育に十分な時間をかける
  • 親族や関係者の理解を得る
  • 専門家や公的支援を積極的に活用する

 

会社を継ぐタイミングをあらかじめ決めておく

会社を継ぐのはいつが良いかですが、当然ながらいつでも良いわけではありません。

 

事業環境の変化が激しい場合や会社の財務状況が悪い場合のように、経営経験に基づいたシビアな経営判断が求められる時期は避けた方がよいでしょう。

 

また、親の年齢や健康状態なども考慮しなければなりません。もちろん、本人のモチベーションや周囲の理解なども大切です。

 

こうしたさまざまな状況から、会社を継ぐのに最適なタイミングをあらかじめ決めておき、それに向かって準備を進めておくことが、スムーズな事業承継のポイントです。

 

承継準備、後継者教育に十分な時間をかける

承継準備や後継者教育には、一般的に5~10年程度の時間がかかるといわれています。

 

中小企業の経営者の平均引退年齢が70歳前後であることを考えると、60~65歳までには後継者教育をスタートした方がよいでしょう。

 

後継者教育は、自社業務を通じたOJTによるものが中心となりますが、それ以外にも同業他社への出向や経営者セミナーなどの受講、他の経営者とのコネクション作りなどさまざまな方法があります。

 

ここで十分な知識や経験を身に付けておけば、経営者となった後でも慌てることなく正しい判断が下せるようになるでしょう。

 

親族や関係者の理解を得る

親の会社を継ぐのであれば、親族や関係者の理解を得ることが大切です。

 

特に、後継者以外の親族が株式を持っていたり役員になっていたりする場合は、事前に十分なコミュニケーションを取った上で、内諾を得ておかなければなりません。

 

ここは、事業承継のみならず、相続における遺産分割などとも関連するため、税理士などに相談しながら検討することが必要です。

 

さらに、承継が近くなった時期には、取引先や得意先、金融機関などの関係者にも事前に根回しをしておくことも大切です。

 

専門家や公的支援を積極的に活用する

親の会社を継ぐためには、さまざまな法的手続きが必要です。

 

契約書類であれば弁護士によるリーガルチェックを受けた方が良いでしょうし、株式の移転(贈与、相続または譲渡)にともなう課税関係については事前に税理士に相談しておくことが必要です。

 

また、事業承継にあたっては、公的な補助制度や、課税関係の特例制度などもあります。これらも、事業承継に詳しい専門家に相談して、状況に応じて活用できるとよいでしょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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