※画像はイメージです/PIXTA

民間企業が親が経営者である20代会社員に行った調査では、6割強が「会社を継ぐ気はない」と回答しました。。昔であれば親が経営する会社を子が継ぐことは当たり前でしたが、現在は、そういった意識が薄れつつあります。それでも経営者の子どもは、会社を継ぐかどうか、実際に継ぐことになったらどう経営すべきか、悩みは尽きないでしょう。そこで本記事では、親の会社を継ぐ場合のメリット・デメリットを中心に解説していきます。

どれくらいの人が親の会社を継いでいる?

ひと昔前までは、会社経営者を父に持つ子であれば、当たり前のように父の後を継いで経営者となっていました。

 

では、現在では、どれくらいの人が親の会社を継いでいるのでしょうか?

 

中小企業の事業承継の現状

はじめに、中小企業の後継者の決定状況を確認してみましょう。[図表1]をご覧ください。

 

 (出典)中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」10ページに掲載の「(3)中小企業における事業承継の現状①後継者確保の困難化」より)
[図表1]後継者の決定状況
(出典)中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」10ページに掲載の「(3)中小企業における事業承継の現状①後継者確保の困難化」より)

 

中小企業庁が作成した「事業承継ガイドライン(第3版)」によると、調査対象となった中小企業のうち、約半数が廃業を予定しています。

 

残りの半数、つまり廃業せずに事業を承継したいという意向がある企業のうち、約45%が後継者未定となっています。

 

また、約半数を占める廃業を考えている企業のうち、約3割は後継者難による廃業となっています。

 

(出典)中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/shoukei_guideline.pdf)」10ページに掲載の「(3)中小企業における事業承継の現状①後継者確保の困難化」より)
[図表2]廃業予定の企業の廃業理由 (出典)中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」10ページに掲載の「(3)中小企業における事業承継の現状①後継者確保の困難化」より)

 

親族内承継の状況

次に、事業承継を終えた会社のうち、親族内で会社が継がれた割合がどれだけあるのかを確認してみます。

 

(出典)中小企業庁『2023年度版中小企業白書』 (第2部第2章128ページに掲載の「近年事業承継をした経営者の就任経緯」より)
[図表3]近年事業承継をした経営者の就任経緯 (出典)中小企業庁『2023年度版中小企業白書
(第2部第2章128ページに掲載の「近年事業承継をした経営者の就任経緯」より)

 

2023年度版中小企業白書』に掲載の「近年事業承継をした経営者の就任経緯」データによると、「親族内承継」「従業員承継」「社外への引き継ぎ」(M&A等)のうち、親族内承継の割合は2021年までトップであり、横ばいで推移してきましたが2022年には急減しています。反面、「従業員承継」は増加して、「親族内承継」とほぼ同じ割合になりました。

 

また、「社外への引き継ぎ」(M&A等)も、年々増加傾向にあることがわかります。

 

この流れからも、親の会社を子が引き継ぐことは、もはや「当たり前」ではなくなっているといえます。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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