(※写真はイメージです/PIXTA)

誰に何をどれくらい相続させるか、相続人以外への遺贈をするか、自筆かパソコンで作成するか、遺言執行者の指定など、遺言書には検討すべきポイントが数多く存在します。本稿では、遺言書の効力や効力が無効となるケース、遺言書を見つけた際の適切な対応など、遺言書に関する押さえておくべき知識を詳しく解説します。

公正証書遺言の効力が無効となるケース・ならないケース

次は、公正証書遺言の場合です。

 

 

公正証書遺言に関しては、公証人が関与することもあり、自筆証書遺言のように書き方で無効になってしまうことはほとんどないといえますが、意外に見落としがちなのは証人に関してです。

 

証人は2人以上必要ですが、自分で手配する場合、うっかり要件のない人に依頼してしまうことが考えられます。公正証書遺言の場合の証人は、以下の者には要件がありません。したがって、これらの者が証人となって作成された遺言書は無効です。

 

・未成年者

 

・推定相続人

 

・遺贈を受ける者とその配偶者、直系血族

 

・遺言書を作成する公証人の配偶者と4親等内の親族

 

・公証役場の職員

 

逆に、無効とならないケースとして、口がきけない場合や耳が聞こえない場合が挙げられます。以前は遺言者が口頭にて公証人に意思を伝え、遺言書の内容を公証人が読み聞かせることが必須でした。

 

しかし、民法の改正により、筆談や閲覧など従来の方法に代わる措置がもうけられ、現在では公正証書遺言が可能とされています。

秘密証書遺言の効力が無効となるケース・ならないケース

最後に、秘密証書遺言の場合です。

 

 

公正証書遺言同様、証人に要件がないことによって無効になってしまうケースがあります。秘密証書遺言の場合、公証人と関係が深い人物もNGになってしまうため、要件はさらに厳しいです。

 

・未成年者

 

・推定相続人

 

・遺贈を受ける者とその配偶者、直系血族

 

・遺言書を作成する公証人の配偶者と4親等内の親族

 

遺言書が完成したら封筒に入れて封をし、そのあと封筒に押印をする必要がありますが、このとき遺言書の中身で押印した印鑑と同じものを使用しないと無効になってしまいます。一方、自筆証書遺言の場合とは異なり、パソコン、代筆での作成は認められています。

勝手に開封したら罰則も…遺言書を見つけた際の対応

遺言書は、発見しても勝手に開封してはいけません。家庭裁判所に提出し、検認を行う必要があります。もし遺言書を発見したら、すべての相続人に知らせたうえで家庭裁判所に持っていき、開封してもらいましょう。

 

遺言者から直接遺言書を預かっていた場合なども同様です。勝手に開封する行為は法律違反に該当し、違反した場合、5万円以下の過料が課せられる可能性があるため注意が必要です。

遺言書の効力が無効と判断されないポイント・書き方とは?

遺言書の効力が無効と判断されないためには、どういったことに気をつければよいのでしょうか。遺言書の種類別に解説します。

自筆証書遺言の書き方ポイント

全文自筆で書きましょう。財産目録のみパソコンでの作成を認められていますが、本文をパソコンや代筆で作成すると無効となってしまいます。

 

遺言者の氏名は正しく書き、日付も年月日が特定できるよう正確に記入します。押印は実印をおすすめしますが、認印やシャチハタ、拇印でも可能です。

 

加筆や訂正に関しては細かいルールが定められているため、書き損じた場合は注意が必要です。訂正の際は二重線を引いて訂正箇所に押印し、近くに正しい文字を記入します。削除の場合は二重線と押印です。

 

このとき、訂正後の文字や陰影は、ほかの文字と重ならないようにしてください。文字を書き足したい場合は該当の箇所に吹き出しを書き、そこに加入する文字を書いたうえ押印します。さらに余白や遺言書の末尾に何字加入、何字削除などと修正した旨を記入し、署名します。

 

訂正したけど合っているのかどうか不安という場合は、一から書き直してしまったほうが無難です。

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