(※写真はイメージです/PIXTA)

「遺贈」とは、個人が遺言によって、自身の財産を受遺者に無償で譲渡する方法です。相続とは異なり、法律で規定された相続人に限らず、相続人以外の人にも財産を譲渡することができます。つまり、事実婚や同性婚のパートナー 、お世話になった友人や知人などにも財産を譲渡することができるのです。今回は、相続人以外の第三者に遺贈した場合のメリット・デメリット、相続税の計算方法や注意点等について解説します。

第三者に財産を残すことができる遺贈とは

遺贈とは遺言で自分の財産を受遺者に無償で譲渡する方法です。

 

遺言者(被相続人)が遺言書で指定をすれば、法定相続人(例:配偶者や子供等)の他、法定相続人以外の人(例:事実婚や同性婚のパートナー、お世話になった友人・知人等)にも財産を無償譲渡できます。

 

なお、遺贈以外では生命保険で下りる生命保険金の受取人を、法定相続人以外の人(例:法定相続人の対象外となっている孫)に指定できます。また、生命保険の一部では事実婚や同性婚のパートナーを受取人にできる商品も販売されています。

遺贈を行うメリットとデメリットとは?

遺贈を行う場合、遺産の譲渡に関する遺言者(被相続人)の意思が反映できる反面、遺言内容によっては受贈者間でトラブルが発生する可能性もあります。

遺贈を行うメリット

自分の財産を受け取ってもらいたい人がいれば、遺言書で指定し取得させることができます。

 

受贈者には法定相続人の他、生前に可愛がっていた孫や、事実婚・同性婚のパートナー、生前お世話になった知人・友人の指定も可能です。

 

遺贈では受贈者の誰にどんな財産を取得させるか、遺言者の意思で決められます。亡くなった後、遺産分割でトラブルにならないように、受贈者に配慮しながら遺産の分与ができます。

遺贈を行うデメリット

遺言は所定の方法で作成しないと無効になる可能性があります。自筆証書遺言の場合は基本的に遺言者本人が自筆で作成しなければいけません。

 

また、公正証書遺言は公証人という公務員が作成してくれる遺言で、偽造・変造の心配はありませんが、証人2人が必要となります。作成に手間取る可能性もあるでしょう。

 

その他、法定相続人が予想もしなかった第三者を受贈者に指定すると、トラブルになる可能性もあります。事前に法定相続人となる家族に、第三者も受贈者に含める旨を伝えておいた方が良いでしょう。

相続人以外の第三者に遺贈した場合の相続税の計算方法

基本的に法定相続人以外の第三者へ遺贈した場合、相続税の計算は法定相続人が遺産を取得した場合の計算方法と変わりません。計算方法は「法定相続分に応じた取得金額×税率-控除額」です。

 

ただし、相続税の基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に、法定相続人以外の第三者は含まれないので注意しましょう。

 

相続税の税率・控除額に当てはめて相続税額を計算します。下表をご覧ください。

 

 

法定相続人以外の第三者だけに被相続人の全財産を遺贈した場合、次のような計算方法となります。

 

(例)身寄りのなかった被相続人は、色々と介護の世話をしてくれた友人に全財産(2,000万円)を遺贈した。

 

友人の取得金額は2,000万円なので税率15%、控除額50万円で計算します。

 

取得金額2,000万円×税率15%-控除額50万円=250万円

 

ただし、友人は法定相続人以外の第三者なので相続税が2割加算となります。

 

250万円×20%=50万円(2割加算分)

 

250万円+50万円=300万円

 

300万円が友人に課せられる相続税額です。

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