(※写真はイメージです/PIXTA)

誰に何をどれくらい相続させるか、相続人以外への遺贈をするか、自筆かパソコンで作成するか、遺言執行者の指定など、遺言書には検討すべきポイントが数多く存在します。本稿では、遺言書の効力や効力が無効となるケース、遺言書を見つけた際の適切な対応など、遺言書に関する押さえておくべき知識を詳しく解説します。

遺言書にはいくつか種類がある

遺言書には、主に3つの種類が存在します。それぞれ、どのような特徴があるのでしょうか。順番に解説します。

自筆証書遺言

その名のとおり、遺言者が自筆で作成する遺言書のことです。筆記用具や用紙に指定はなく、紙とペン、印鑑さえあれば思い立ったときに作成が可能です。

 

基本的にすべて自書する必要がありますが、財産目録についてはパソコンでの作成も認められています。手軽に作成でき、自分で作成するため費用がかからないのがメリットです。

 

ただ、第三者の目がない分間違った方法で作成して無効になってしまったり、紛失してしまったり、相続人による隠蔽、変造などの可能性もあります。作成の際は正しい方法で作成し、自宅で保管せず法務局に預かってもらうことをおすすめします。

公正証書遺言

公的機関である公証役場の公証人に作成してもらう遺言書のことです。原案を考える必要はありますが、公証人に相談でき、最終的に公証人が関与して作成することになるため、ほかの形式よりも信頼性が高いです。

 

また、入院中で動けないという場合でも、公証人が病院まで出向いてくれるため、作成を諦める必要がありません。

 

手数料や手間、日数などはかかりますが、内容の改ざんや変造の危険性が低く、そのまま公証役場で保管してもらえる点も考慮するとメリットのほうが多いでしょう。なお、手数料は遺言の目的である相続財産の価額によって異なります。

 

 

秘密証書遺言

遺言内容を秘密にできるのが特徴の遺言書です。全国で年間100件程度と、あまり利用されることのない遺言方法ですが、内容を見られるのは本人、公証人、証人のみになるため、遺言書の中身を誰にも知られることなく作成できます。

 

遺言者本人が作成し封入するため、自筆証書遺言のように遺言者が記載したものかどうかの確認が不要で、偽造や改ざんを防げるのがメリットです。自筆証書遺言とは違い、パソコンでの作成も可能です。

 

ただ、手間がかかる、記載に不備があると無効になるなどのデメリットもあります。また、公正証書遺言よりは低コストで作成できますが、手数料が1万1,000円かかります。

遺言書が持つ8つの効力とは? 

遺言書には、どのような効力があるのでしょうか。ここでは、8つの効力について解説します。

1.相続分の指定

法定相続分に関係なく、誰に何をどれくらい相続するのかを自由に指定できます。特定の相続人にすべての遺産を相続させるといった内容の遺言書を作成することも可能ですが、ほかの相続人の権利を侵害することにもなるため、慎重に検討しなければなりません。

 

たとえば、以下のような割合で相続分を指定するケースがあります。

 

・跡継ぎである長男に全財産を相続させる

 

・家にひとり遺されることになる妻に相続財産の80%を相続させる

 

2.相続人以外への遺贈

遺産は法定相続人に相続されますが、遺言により法定相続人以外の人にも遺贈ができます。

たとえば、以下のような人に遺贈するケースが多い傾向にあります。

 

・献身的に介護してくれた長男の嫁

 

・お世話になった人

 

・内縁の配偶者 など

 

3.遺産の寄付

遺産は、遺言によって特定の法人や慈善団体などに寄付することができます。天涯孤独で相続人が1人もいないという場合や、相続人はいるが誰にも渡したくないといった場合に寄付が選ばれることが多いです。

 

寄贈寄付先には多くの団体がありますが、たとえば以下のようなケースがあります。

 

・自然を守るため、自然保護団体に寄付する

 

・恵まれない子どもたちのために、発展途上国に寄付する

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