(※写真はイメージです/PIXTA)

年間110万円の贈与の非課税枠を利用した相続対策……耳にしたことがある人も多いでしょう。本来有効な相続対策となるはずですが、正しい知識のもと実行しなければ、あとから税務調査で指摘を受けるケースも……。具体的にはどのようなケースでしょうか。本記事では、Aさんの事例とともに生前贈与の注意点について、税理士事務所エールパートナーの木戸真智子税理士が解説します。

家業をいずれ引き継ぐ息子の大きな過ち

36歳になるAさんは、家業である不動産賃貸業をいずれ引き継ぐ予定で、実家の会社の経理回りを対応していました。Aさん一家は代々続く資産家で、不動産をたくさん所有しており、早い段階で相続の対策をしていかなければということについては会社の顧問税理士から聞かされていました。

 

しかし、そうは言っても、具体的なことを相談するのはまだよいかなと、なんとなく先延ばしにしており、大家の仲間の知人からいろいろと情報収集をしているのみでした。

 

情報収集の中でAさんは大家の仲間から、年間110万円以下であれば贈与税がかからないから、毎年、贈与を行っているということを知りました。それくらいなら自分でもできると思い、Aさんも相続の準備として110万円の贈与を進めていくことに。

 

Aさんは会社のお金回りや親の社会保険や固定資産税などの支払いも任せられていたので、母親の通帳は自分自身でも引き出しができるような状態でした。母親も息子を信頼して任せていたので、日ごろから細かくチェックをすることもありませんでした。

 

そこでAさんは、その110万円を母親の口座から引き出しておけばよいのでは?と思いつきます。これまでも生活費で必要なことがあれば代わりに引き出すこともあったので、それについてはなんの抵抗もありませんでした。

 

それから15年後、母が亡くなり税務調査が…

15年後、Aさんの母親が死去します。母が亡くなってから数年後、突然、税務署から税務調査の連絡が来ました。

 

Aさんは、税務調査官から「贈与税無申告」と指摘を受けてしまいます。

 

贈与の実態がなく110万円を引き出しと生活費などの引き出しを同じように続けてきたため、なんのための引き出しなのかが証明できず、本人が引き出したほかの分も贈与ではないかと疑われます。その場合に非課税枠の110万円を超えてしまい、贈与税無申告とされてしまったのです。

 

これは生活費に支払ったもの、これは贈与分ということが明確でなく、単に引き出しただけではそれが生活費なのか贈与なのかは証明不可能のため、指摘されても反論できる証拠がなく、Aさんは撃沈しました。

 

そもそもAさんの通帳からの引き出しは、なぜ税務署にバレたのでしょうか。

 

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