本調査のポイント
事故対応満足度、前年比で6ポイントの低下
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2023年自動車保険事故対応満足度調査SMの結果を発表した。
本年調査の総合満足度は、前年調査(2022年11月発表)の過去最高値の更新から一転し、前年比-6ポイントの711ポイント(1,000ポイント満点)となった。
総合満足度を構成する全6ファクターのうち、「保険金支払」で-6ポイント、「事故対応担当者」で-7ポイント、また「事故受付体制」で-4ポイントと、主要なファクターでの満足度低下が見られた。
内訳を見ると、影響度の最も高い「保険金支払」においては、「事故連絡から保険金支払までに要した期間」と「保険金の支払額/範囲の納得感」でともに低下している。
「事故対応担当者」においては、「(保険会社の)支払われる保険金や補償内容の説明のわかりやすさ」や「(代理店の)親身な態度・気配り」で最も低下している。また、「事故受付体制」では「事故連絡のしやすさ」で特に低下している。
会社別に見ると、代理店系保険会社では1社を除く全ての会社で満足度が低下しており、またダイレクト系保険会社でも複数社での満足度低下が見られた。
事故受付から保険金支払までの事故対応プロセスにおいて、説明力や納得感の醸成といった顧客対応に問題がないか、点検が要される。
ドライブレコーダーの提出率は上昇するも、提出時の満足度が低下
本年調査では、ドライブレコーダーの装着率が上昇していることが確認された。
2022年調査(2022年11月発表)時点では、55%の装着率であったが、本年調査では63%が装着していると回答した。それに伴い、事故解決プロセスにおけるドライブレコーダーの提出率も前年比+2ポイントの20%となった。
一方、ドライブレコーダーを提出した顧客の満足度は708ポイントで、前年比-22ポイントと大きく低下している。
ファクター別に見ると、特に「事故対応担当者」と「保険金支払」で大きく低下しており、中でも保険会社の事故対応担当者の「経過報告のタイムリーさ」での低下が目立つ。
特に、自身と事故相手の双方に過失がある場合、事故対応担当者の「報告連絡が遅かった/催促をした」、「同じ情報を何度も伝えなければならなかった」といった割合の増加が確認された。
加えて、事故受付から保険金支払完了までの所要日数が前年に比べ平均で7.5日増加していることから、保険会社において、ドライブレコーダー提出時の顧客対応が上手く機能していない可能性が推察される。
今後もドライブレコーダーの装着率の増加が想定されることから、ドライブレコーダー提出案件に対する顧客対応の強化が喫緊の課題と言える。
事故対応満足度は前年から一転して低下し、自動車保険会社各社の事故対応の適切性が厳しく問われた動きも反映された結果となった。
「保険金支払」においては「保険金の支払額/範囲の納得感」で、「事故対応担当者」においては「(保険会社の)支払われる保険金や補償内容の説明のわかりやすさ」や「(代理店の)親身な態度・気配り」が低下しており、これまで自動車保険会社が地道に積み上げてきた顧客からの信頼の低下を窺わせている。
大手中古車販売会社による保険金不正請求問題により保険料の適切性にも疑問の声が出ている中、自動車保険会社各社は顧客に対して誠実な対応を徹底し、納得性に配慮することがこれまで以上に重要になっていると言える。
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