本調査のポイント
総合満足度に最も影響するのは「ウェブサイト/モバイルアプリ」の顧客体験
総合的な顧客満足度の測定にあたって、「ウェブサイト/モバイルアプリ」(見やすさ、検索のしやすさ、手続き・管理のしやすさ、掲載情報のよさなど)、「取り扱い返礼品・自治体」(返礼品の豊富さ・魅力、寄附したい自治体の有無など)、「ユーザー特典」(キャンペーン、ポイントプログラム)の3つのファクターを設定し、総合満足度に対する各ファクターの影響度を算出した。
その結果、「ウェブサイト/モバイルアプリ」が41%と最も大きく、続いて「取り扱い返礼品・自治体」が37%、「ユーザー特典」が23%となった。
ふるさと納税サイトを利用し始めた理由として、ポイント還元や返礼品が多く挙がっているが、満足度という観点では「ウェブサイト/モバイルアプリ」での顧客体験がより高い影響を与えていることが分かった。
過半数の利用者が毎年1サイトのみを利用して全額を寄附
本調査では、顧客満足度に加えて、ロイヤルティについても聴取している。
主利用サイトの今後の利用意向について、大多数の利用者(97%)が「今後も続けて利用したい」と回答している(「そう思う」と「まあそう思う」 の合計)。
また、主利用サイトでの寄附金額の割合*については、過半数の利用者(54%)が、複数のサイトを利用せず、寄附金額の全額を1つのサイトのみで行うことを希望していることが分かった。
また、主利用サイトを利用し始めた理由としては、「ポイントプログラムが魅力的」が48%と最も多く、次に「自分が欲しい返礼品が掲載されている」(35%)、「掲載されている返礼品の数や種類が多い」(24%)と続く。
そしてこのような傾向は満足度の高い層ほど強まることが確認される。
このことから主利用サイトでの利用者の満足度が、継続意向の高さや主利用サイト1社での利用意向の高さに繋がってきたものと考えられる。
一方、10月1日からの制度変更により、各自治体に対し、すべての経費を寄附額の50%に収めることの義務化、加えて、返礼品を地場産にすることの基準変更など、より制度本来の趣旨に沿った運用が行われることとなった。
より厳格化されたルール下においては、ふるさと納税サイト事業者各社においては、取り扱う返礼品の豊富さや魅力の訴求だけでなく、寄附金の支払方法の多様化や税額控除に関する手続きの簡略化といった、利用者の利便性を向上させるサービスの差別化が今後の利用促進に有効と言えよう。
*今年(2023年1月から12月まで)行うふるさと納税全体に占める、主利用サイトでの寄附金額の割合。
過去の寄附体験が自治体へのリピーターを生み出すきっかけに
主利用サイトを通じてふるさと納税をするにあたり、寄附先の自治体を決める理由について聴取しているが、全体の3分の1を超える36%が「自治体で選んでいない」と回答し、特に主利用サイトの利用を始めてから1年未満の利用者で多く見られたが(45%)、5年以上の利用者では28%と約2割低下することが確認された。
一方、寄附先の自治体を選んだ理由で最も多かったものは「過去に寄附をして対応がよかった自治体だから」で25%だった。
主利用サイトの利用年数が長いほどその割合は増加しており、自治体へ寄附をした際の対応の良さが、次回のふるさと納税における自治体選定の好循環を生み出していると考えられる。
ふるさと納税サイト事業者各社においては、自治体や返礼品のラインナップだけでなく、利用者からの評価が高い自治体をいかに多く扱うかも、より魅力的なサイトの構築に重要と言えよう。
寄附先の自治体を選んだ理由で、「過去に寄附をして対応がよかった自治体だから」が最も多かったことは注目すべき点といえる。
10月から返礼品に関する経費ルールが厳格化されたことにより返礼品の競争環境が緩和していくとみられる中、寄附に対する対応の良さや利用者の利便性向上に向けた取り組みが自治体を選ぶ理由としては従来以上に高まってくるものと考えられる。
こうしたことを踏まえれば、ふるさと納税サイトにおいては取り扱い返礼品の単純な数や魅力度の向上だけでなく、対応力の高い自治体のサイト掲載数や利用者の利便性を高めるサービスの提供が一層重要となるものと考えられる。
寄附受け入れ額を増やす自治体と苦戦する自治体が二極化しているとみられる中、ふるさと納税サイトは単に対応力の高い自治体を囲い込むだけではなく、自治体の対応力を引き上げていく取り組みも重要であると言える。
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