(※画像はイメージです/PIXTA)

国税庁は10月20日、2022年度のオンライン(e-Tax)手続の利用状況等を公表しました。それによると、税務署や金融機関の窓口に出向く必要のない「キャッシュレス納付」を利用している人の割合は35.9%でした。キャッシュレス納付は、申告手続との併用により、手続きの省力化とコスト削減につながる便利な方法です。税理士の黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ共同代表)が解説します。

クレジットカード納付

クレジットカード納付は、e-Taxで申告等のデータを送信した後に、クレジットカードを用いて納付する方法です。「国税クレジットカードお支払サイト」という専用サイトを経由して納付を行います([図表5]参照)。

 

[図表5]クレジットカード納付(イメージ)

 

届出書の提出等の事前手続は不要です。また、原則として全ての税目について利用できます。

 

手軽に利用できて便利ですが、他の納付方法との大きな違いは手数料がかかることです。クレジットカードのポイント還元率が高ければ、利用の余地があると考えられます。

 

スマホアプリ納付

スマホアプリ納付は、e-Taxで申告等のデータを送信した後に、スマホアプリを利用して納付する方法です。2022年12月から導入された新しい方法です。

 

「国税スマートフォン決済専用サイト」から利用可能な「Pay払い」を選び、納付受託者(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)に納付を委託する形によって行います。届出書の提出等の事前手続は不要です。また、原則として全ての税目で利用できます。

 

利用可能なPay払いは以下の6つです。

 

【スマホアプリ納付で利用可能なPay払い】

・PayPay(PayPay株式会社)

・d払い(株式会社NTTドコモ)

・au PAY(KDDI株式会社)

・LINE Pay(LINE Pay株式会社)

・メルペイ(株式会社メルペイ)

・Amazon Pay(Amazon Services International LLC)

 

クレジットカード納付と異なり、手数料はかかりません。ただし、1回の限度額は30万円までで、かつ、使用するPay払いのアカウント残高の範囲でのみ利用可能という制限があります。もしも税額が30万円を超える場合は、複数に分けて納付を行うことができます。

 

以上、紹介してきたように、キャッシュレス納付は5種類あり、いずれも納税にかかる時間やコストを大幅に節約できる方法であるといえます。e-Taxを利用した申告手続は定着してきましたが、キャッシュレス納付はまだ十分に活用されているとはいえません。キャッシュレス納付の方法の多くはe-Taxによる申告手続とセットで行うことができ、手続きもそれほど複雑ではありませんので、業務効率化の観点から、今後、積極的な活用が期待されます。

 

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ 共同代表

公認会計士

税理士

 

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