【経営のキホン】マネジャーの体感「部下は7人が限界」を理論的に裏付ける2つの法則とは?

【経営のキホン】マネジャーの体感「部下は7人が限界」を理論的に裏付ける2つの法則とは?
(画像はイメージです/PIXTA)

仕事で「チームがうまく回らない」と悩むケースは多いもの。じつは、この現象を理論的に説明・裏付ける法則があるのです。ソフトバンクの孫正義社長の下でビジネスの修行を積んだ著者が、孫社長から学んだスキルと合わせて解説します。※本記事は『孫社長にたたきこまれた「数値化」仕事術』(PHPビジネス新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

能力あるマネジャーでも「目が行き届く範囲」には限界が…

記事『300人が限界です…経営者が頭を抱える〈大規模組織〉のマネジメント問題。解決のカギを握る「ダンバー数」とは?』で解説したダンバー数にもとづいて、集団の人数を150人や200人以下に抑えたとしても、この人数を1人のマネジャーが直接管理するのは不可能です。

 

よく「優秀なマネジャーがいない」とこぼす経営者がいますが、いくら能力のある人でも、そもそも目が行き届く範囲には限界があります。

 

では、1人のマネジャーがきちんと面倒をみられる上限は何人か。私は7人だと考えます。

 

もちろんこれにも、理論的な裏づけがあります。

 

その1つが、「マジックナンバー7」です。アメリカの認知心理学者であるジョージ・ミラー氏が提唱したもので、「人間が短期的に記憶できる容量は7個前後」という法則です。

 

机に硬貨をばらまいた時、人間が一瞬で数を認識できるのは7枚程度。それ以上の硬貨が目の前にあっても、パッと見て枚数を把握するのは難しいということです。

 

経営学にも、「スパン・オブ・コントロール」という言葉があります。これは「1人の上司が直接管理できる範囲」を意味する言葉で、その人数は「多くて7人まで」とされます。

 

これらの理論が示すのは、「人間が7を超える大きな数字を扱うのは難しい」という事実です。1週間が7日なのも、おそらくこの原則に則ったからでしょう。私たち人間にとって、「7単位で1つ」のサイクルを回すのが、最も自然で受け入れやすいということです。

新規出店のプランも「7」の数字を意識する

もしあなたがマネジャーで、「チームがうまく回らない」「部下の面倒をみきれない」と感じているなら、自分が直接管理する人数を7人以下にしてみましょう。

 

30人のチームを抱えているなら、その中から5人を選んで、サブマネジャーとします。さらにその下に5人ずつのメンバーを割り振り、そのメンバーは5人のサブマネジャーが管理します。こうすれば、チームの1番上にいる自分も、そのすぐ下にいる5人も、自分がコントロール可能な範囲でマネジメントができます。

 

「Yahoo!BB」のコールセンターでも、13のユニットを作り、その下にいくつかのサブユニットを作って、さらにその下に現場部隊を置くという多重構造にしていました。こうして人数の少ない組織に分け、それぞれにユニット長、サブユニット長、部隊長を置けば、マネジメントしやすいからです。

 

人数が少なければ、管理能力がそれほど高くない人や経験が浅い人でも、無理なくチームを運営できます。マネジメント能力の高い人をわざわざ探してこなくても、今いる人材でチームを回し、成果を出すことが十分できるはずです。

 

新規出店のプランを考える際なども、「7」の数字を意識すると役立ちます。

 

業績が好調だからといって、何も考えずに出店数だけを増やすと、本部が現場をコントロールしきれなくなります。すると本社の指導や支援が行き届かず、現場のミスが続いてサービスの質も低下し、お客が離れるという悪循環に陥ってしまう。勢いのある飲食や小売のベンチャーによくあるケースです。

 

よって、「東京の店舗数が増えたらエリアを2つに分け、それぞれにエリア長を置く」「東京の出店エリアが増えたら、さらに2つのブロックに分け、それぞれにブロック長を置く」といった形でマネジメントの階層を増やしながら、1人のマネジャーが直接管理する数を「7」前後に抑える体制づくりをするとよいでしょう。

 

「困難は分割せよ」という言葉があるように、難しい仕事であっても、小さく分けることで対応が可能になります。「マジックナンバー7」&「スパン・オブ・コントロール」は、マネジメントにおけるさまざまな課題を解決する可能性を持った、応用範囲の広い法則と言えます。

 

 

三木 雄信
英語コーチングスクール「TORAIZ(トライズ)」主宰

 

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※本記事は『孫社長にたたきこまれた「数値化」仕事術』(PHPビジネス新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

【新書版】孫社長にたたきこまれた「数値化」仕事術

【新書版】孫社長にたたきこまれた「数値化」仕事術

三木 雄信

PHP研究所

★6万部突破ベストセラー、増補改訂でさらにパワーアップ! ★数字に使われるな、数字を使いこなせ! ソフトバンク元社長室長の著者が、孫正義社長のもとで身につけたのは「問題を数値化して高速で解決する技術」。現実に…

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