(写真はイメージです/PIXTA)

9月短観では、大企業製造業・非製造業ともに景況感の改善が示されました。しかしながら中小企業の景況感は横ばい圏に留まり、大企業との格差が際立つ結果に。このような景況感の変化にはどのような背景があるのでしょうか。本稿ではニッセイ基礎研究所の上野剛志氏が、9月短観をもとに、景況感の見通しについて分析します。

2.業況判断DI:大企業製造業・非製造業ともに改善も、先行きは慎重

全規模全産業の業況判断DIは10(前回比2ポイント上昇)、先行きは8(現状比2ポイント下落)となった。大企業について、製造・非製造業別の状況は以下のとおり。

 

(大企業)

大企業製造業の業況判断DIは9と前回調査から4ポイント上昇した。業種別では、全16業種中、上昇が9業種と下落の5業種をやや上回った(横ばいが2業種)。

 

円安に加え半導体不足など供給制約の緩和を受けた自動車(10ポイント改善)のほか、原材料高一服を受けて、紙・パルプ(18ポイント上昇)、木材・木製品(21ポイント上昇)、窯業・土石(18ポイント上昇)、食料品(10ポイント上昇)などの上昇が目立つ。一方、中国経済の減速や世界的な半導体市場低迷を受けて、はん用機械(7ポイント下落)、生産用機械(6ポイント下落)、電気機械(4ポイント下落)などでは下落した。

 

先行きについては上昇が9業種と下落の7業種を上回り、全体では1ポイントの上昇となった。

 

半導体市場の底入れ期待を反映したとみられる電気機械(8ポイント上昇)、生産用機械(5ポイント上昇)のほか、最近の原油価格上昇が在庫評価益に繋がる石油・石炭(13ポイント上昇)などでの上昇が目立つ。

 

一方、住宅着工の減少が響く木材・木製品(27ポイント下落)、値上げの悪影響が懸念される食料品(8ポイント下落)、海外経済減速の影響を受けやすい自動車(4ポイント下落)などが下落した。

 

大企業非製造業の業況判断DIは前回から4ポイント上昇の27となった。業種別では、全12業種中、上昇が8業種と下落の3業種を上回った(横ばいが1業種)。

 

規制料金の値上げと原料価格下落が追い風となった電気・ガス(36ポイント上昇)の上昇が突出しているほか、インバウンドの回復や経済活動再開の追い風を受けた宿泊・飲食サービス(8ポイント上昇)、小売り(7ポイント上昇)の上昇も目立つ。

 

一方、対個人サービス(4ポイント下落)、情報サービス(3ポイント下落)などが弱含んだ。

 

先行きについては、下落が9業種と上昇の3業種を大きく上回り、全体では6ポイントの下落となった。

 

資材価格高止まりや人手不足懸念を受けたとみられる建設(2ポイント下落)、不動産(9ポイント下落)のほか、足元で上昇が目立った小売(6ポイント下落)、宿泊・飲食サービス(3ポイント下落)などでも下落しており、物価高による消費下振れ懸念を反映しているとみられる。

 

 

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月2日に公開したレポートを転載したものです。

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