(写真はイメージです/PIXTA)

ユーロ圏の4-6月期成長率は、前期比0.1%となりました。依然としてインフレ率は高い水準にあり、金融引き締めが続いていることから内需は弱く、輸出も伸び悩んでいます。本稿では、ニッセイ基礎研究所の伊藤さゆり氏・高山武士氏が欧州経済の見通しについて解説します。

(リスク:成長率は下方、インフレは上下双方にリスク)

予想に対するリスクは、成長率見通しに対しては下振れリスクに傾き、インフレ見通しに対しては上振れと下振れの双方にリスクがあり不確実性が高い状況と言える。

 

成長率の下振れリスクとしては、金融引き締めの長期化に伴う、金融システムリスクの顕在化や実体経済の想定以上の減速、域外需要の悪化が挙げられる。

 

金融システムリスクについては、世界金融危機以降、大手の金融機関を中心に規制が強化されており、ユーロ圏金融機関の健全性は高まっている。

 

ただし、ノンバンクなど相対的に規制の緩い金融機関を中心に金融引き締めにより、ストレスが強まり経営が悪化する可能性がある。

 

また、企業景況感が冴えないなか、想定以上の需要減速や雇用環境悪化が生じる可能性がある。利上げの実体経済への波及(「第二段階」)がラグを伴って進むことで、商業用不動産といった不振業種を中心にさらに下押し圧力が強まる可能性がある。

 

今後インフレの上振れリスクが顕在化し、さらなる金融引き締め必要になった場合も、成長率の下押し要因となるだろう。

 

域外経済では、米国の金融引き締めの影響で想定以上に経済が悪化する、中国の回復が腰折れし成長が伸び悩むといった状況になれば、欧州にとっても成長の重しとなる。

 

また、中国に対するデリスキングの動きなど、供給網の再編によって域外需要が伸び悩む可能性もある。

 

インフレについては、上振れリスクとして、これまでと同様、エネルギー需給のひっ迫や価格高騰、物価と賃金の上昇圧力が持続しインフレ率が高止まりするリスク挙げられるだろう。

 

エネルギー需給のひっ迫については、ガス調達が順調に進んでいることからリスクは限定的であると見ているが、雇用のひっ迫感が長期化していることから、賃上げ圧力と企業の価格転嫁姿勢が維持され、インフレが高止まりするリスクは残っている。

 

基調的なインフレ率は低下しつあるが、低下スピードがごく緩やかとなり、ECBの金融引き締めが長期化する、あるいはさらなる利上げが求められる可能性が十分に考えられる。

 

インフレ率の下振れリスクは、上述したような成長率の下振れが発生し、需要が減速することで顕在化する可能性がある。

 

なお、世界的な農作物価格に関するリスクも高まっている。ロシアの黒海穀物合意停止に代表される地政学的要因、輸出規制、気候要因13などが先行きの不確実性になっていると言える。

 


13 ECBは、歴史的にはエルニーニョ現象が見られる期間に気温が1度上昇すると1年後の世界の食料品価格が6%以上上昇すると指摘している。Isabel Schnabel, The risks of stubborn inflation, 19 June 2023

 

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    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月15日に公開したレポートを転載したものです。

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