(写真はイメージです/PIXTA)

2023年7月のASEAN主要6カ国の輸出は5カ月連続の前年割れ。また、ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、東南アジア向けが同23.4%減、EU向けが同13.1%減と、2ケタ減となりました。本稿では、ニッセイ基礎研究所の斉藤誠氏がASEANの貿易統計(9月号)について解説します。

フィリピンの貿易収支と輸出伸び率

フィリピンの7月の輸出額(通関ベース)は前年同月比1.2%減(前月:同0.9%増)の61億ドルと小幅に減少した(図表13)。

 

輸出の基調は昨年後半に電子製品を中心に増加傾向で推移したが、その後は世界的な需要の鈍化や一次産品の価格下落により減少傾向にある。

 

また輸入額は前年同月比15.3%減(前月:同15.0%減)の103億ドルとなり減少幅が拡大して9カ月連続の前年割れとなった。結果として、貿易収支は▲42.0億ドルの赤字となり、赤字幅が前月から2.6億ドル拡大した。

 

輸出シェア上位10品目をみると、まず輸出全体の6割近くを占める電子製品が同7.7%増(前月:同11.7%増)となり、3ヵ月連続で増加した(図表14)。電気製品の内訳を見ると、電子データ処理機(同40.5%減)は減少したが、主力の半導体デバイス(同18.2%増)が増加した。

 

その他9品目については、生鮮バナナ(同27.3%増)や精錬銅(同18.4%増)、金(同3.7%増)、機械・輸送用機器(同2.0%増)が増加した一方、ココナッツオイル(同41.2%減)とその他鉱業品(同26.4%減)、化学品(同20.5%減)、その他製造品(同15.2%減)、イグニッションワイヤーセット(同1.5%減)が減少するなど、品目によってばらつきがみられた。

 

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月8日に公開したレポートを転載したものです。

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