インドネシアの貿易収支と輸出伸び率
インドネシアの7月の輸出額(通関ベース)は前年同月比18.1%減(前月:同21.2%減)の208億ドルとなり、2ヵ月連続で減少した(図表9)。
輸出は昨年半ばまでコロナ禍からの経済活動の再開や商品市況の高止まりにより好調が続いたが、その後は海外経済の減速やパーム油、石炭などの主要商品価格の下落により増勢が鈍化し、今年3月から減少傾向にある。5月はレバラン(断食明け大祭)の休暇明けで貿易取引が増えて輸出の伸びがプラスに転じたが、一時的な動きにとどまった。
また輸入額も前年同月比8.3%減(前月:同18.3%減)の195億ドルとなり、2ヵ月連続で減少した。結果として、貿易収支が+12.9億ドルの黒字となり、黒字幅は前月から21.6億ドル縮小した。
輸出を品目別にみると、全体の9割を占める非石油ガス輸出が同18.7%減(前月:同21.3%減)、石油ガス輸出が同4.7%減(前月:同18.8%減)となり、それぞれ低迷した(図表10)。鉄・鉄鋼(同11.7%増)のほか、自動車・同部品(同3.6%増)、電気機械(同3.5%増)、機械類(同1.3%増)など増加した品目もあるが、鉱産物(同38.5%減)や化学製品(同30.3%減)、動植物性油脂(同23.6%減)、プラスチック・ゴム製品(同19.8%減)、織物類(同13.8%減)など減少した品目が多かった。
シンガポールの貿易収支と輸出伸び率
シンガポールの7月の輸出額(石油と再輸出除く、通関ベース、ドル換算)は前年同月比16.5%減(前月:同13.3%減)の106億ドルとなり、11カ月連続の前年割れとなった(図表11)。
輸出の基調は昨年半ばまで世界的な電子製品の需要拡大や石油製品の価格上昇により増加傾向が続いたが、その後はアジア向けを中心に電子製品、非電子製品が振るわず減少している。総輸出額は同14.6%減(前月:同14.9%減)の392億ドル、総輸入額が同19.9%減(前月:同19.3%減)の350億ドルとなり、それぞれ低迷した。結果として、貿易収支は+42.1億ドルの黒字となり、黒字幅は前月から4.8億ドル縮小した。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別にみると、まず全体の約2割を占める電子製品は同22.7%減(前月:同13.6%減)と低迷した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、ディスクメディア(同38.1%減)が2ヵ月ぶりに減少したほか、主力のIC(同32.7%減)とPC(同43.5%減)が低迷した。また全体の約3割を占める化学品も同10.2%減(前月:同31.0%減)となり、3カ月連続で減少した。化学品の内訳を見ると、医薬品(同6.7%増)が増加したものの、石油化学製品(同19.2%減)が引き続き減少した。