今年最大の資金流入
2023年8月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、8月は外国株式や国内株式を投資対象とするファンドを中心に資金流入があり、ファンド全体でみると9,500億円の資金流入があった【図表1】。
わずかではあるが7月の流入額9,400億円を超え今年最大となった。SMA専用ファンド(紺棒)全体への流入額が8月に1,300億円と7月の1,700億円から約500億円減少していることを踏まえると、投信の販売は7月以上に好調であったといえるだろう。
やはり8月も投信販売を牽引したのは外国株式ファンドであった。外国株式ファンドには、SMA専用ファンドから800億円も資金流出していたのにも関わらず、8月に4,900億円の資金流入があり、7月の4,500億円から増加した。
外国株式ファンドはタイプによらず流入増加
一般販売されている外国株式ファンドは、タイプによらず資金流入が8月に増加した。8月はインデックス型の外国株式投信に3,500億円の資金流入があり、7月の3,300億円から200億円増加した。
また、アクティブ型の外国株式ファンドには2,200億円の資金流入があり7月の1,600億円から600億円も増加した。このように流入額自体はインデックス型の方が大きいが、7月からの増加額はアクティブ型の方が大きかった。
一般販売されているアクティブ型の外国株式ファンドへの2,200億円のうち1,200億円はインド株式ファンドへの資金流入であった。インド株式ファンドは流入額こそ7月からほぼ横ばいで流入の増加が一服していたが、8月も販売が好調で引き続きインド株式への関心が高かった。
それに加えて、8月は400億円弱集めた新設ファンド(【図表2】赤太字)があり、米国株式ファンドでは資金流出こそ続いていたが流出額が100億円以内となり7月の300億円からさらに鈍化した。
インデックス型でも、米国株式ファンドを中心に資金流入が7月から増加し、2カ月連続で一般販売しているものへの資金流入が3,000億円を超えた。このように流入額が2カ月連続で3,000億円上回ったのは初めてのことである。
7月は円高となったがそれ以上に株価が上昇し、逆に8月は株価が下落したがそれ以上に円安が進行したため、基準価額が2カ月連続で上昇した外国株式ファンドが多かった。
そのため7月、8月と本来であれば資金流入が細るような投資環境だったにも関わらず、インデックス型の外国株式ファンドの販売が好調だった。来年の新NISAのスタートを前に、インデックス型の外国株式ファンドを購入する投資家のすそ野が広がっている可能性もあり、今後の動向が注目されよう。