気密性能は図面上ではわからない
上述の断熱性能は、Ua値という値で示されますが、これは断熱材の種類や厚さ、窓の性能等から計算で求めることができます。ところが、気密性能は図面から計算で求めることはできません。
そのため、写真のように、一般的には仕上げの前の段階で、気密測定を行って気密性能を示す「C値」を出します。概ね1.0〔cm²/m²〕以下であれば高気密と言われ、値が小さいほど高気密であることを意味します。できれば、C値0.5以下を目指したいところです。
気密測定を行う住宅会社の場合、「C値」が目標値まで行かなければ、目標値を達成するまで、すきまを探して潰していく作業を行います。そのため、とても手間のかかる作業です。
また、鉄骨造は気密性能の確保が苦手で、筆者が知る限り、鉄骨系のハウスメーカーで気密性能を確保している会社は存在しません(関連記事:『日本の住宅に不可欠な「気密性能」だが…住宅メーカーが〈見て見ぬふり〉をするワケ』)。
高気密・高断熱住宅に木造が有利なのは、鉄に比べて木は熱を通しにくく、断熱性能の確保に有利なこともありますが、それ以上に高気密化においては圧倒的な優位性を持っています。
工務店・ハウスメーカー選びの際には、気密測定を全棟実施しているかどうかというのは、とても重要なチェックポイントです。
4つの住宅性能を満たす工務店・ハウスメーカーは極めて少ない
以上、住まいづくりの際にこだわるべき4つの躯体性能である「耐震性能」、「耐久性能」、「断熱性能」、「気密性能」について、最低限のポイントを整理してみました。
これから家を新築するのであれば、ぜひこれらの要素を意識して計画を進めていただければ、後悔のない住まいが実現できることと思います。
ただ、このような性能を満たす住宅を建てている工務店・ハウスメーカーはまだまだ少ないのがとても残念です。消費者の方々が、自分の足で見つけ出すのはおそらく簡単なことではないと思います。
一日でも早く、このような他の先進国並みの住宅があたり前になることを願うばかりです。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走