写真提供:THIS ONE

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回のテーマは「窓の断熱改修の大型補助金」。昨年、話題になった補助金制度「先進的窓リノベ事業」が、予算拡大で募集を開始しました。軽い費用負担で、住宅性能を向上させるチャンスです。

今年の夏は涼しく、来年の冬は暖かく過ごすチャンス到来!

寒い冬が終わり、ホッとしている方も多いかと思いますが、今度は暑い夏がすぐにやってきます。もっと快適な住まいにできたなら……そう思っている方に朗報です。窓の断熱リノベをとてもリーズナブルに行うことができるチャンスが再到来です。

 

冬暖かく、夏涼しい住まいのためには、窓の断熱性能が重要ですが、日本の窓の断熱性能は先進国の中でも突出して劣っており、健康・快適・省エネな暮らしの大きな阻害要因となっています(関連記事:『日本の住宅「最高等級の窓」でも「海外では最低基準」という衝撃の事実』)。特に、断熱性能の低い1枚ガラスのアルミサッシの窓を持つ既存住宅の場合、冬には窓から多くの熱が逃げ、夏には多くの熱が流入してしまいます。そのような窓に対して断熱改修を行うだけでも、熱の出入りを少なくし、空調によるエネルギー消費量の削減に繋がります。また、冬には結露も大幅に少なくなるので、窓を拭く手間が減るだけでなく、健康・快適な暮らしや、家の耐久性の向上にも寄与します(関連記事:『我が家は寒すぎる!が、建て直すほどお金はない…住まいの悩み、専門家によるベストアンサー』)。

 

国は、2050年までにカーボンニュートラル、2030年度の温室効果ガス排出量を国全体で2013年度比で46%削減することを国際的に約束しています。特に家庭部門については、2030年度の排出量を2013年度比で、66%削減という高い目標を掲げています。その目標を達成するためには、住宅の省エネ性能の向上に係る法制度の改正が立て続けに行われています。住宅の省エネ性能の向上に関しては、新築住宅だけでなく既存住宅における対策も重要です。

 

そのような背景の中、既存住宅の省エネ性能向上を目的とし「先進的窓リノベ事業」という大型の補助制度が創設されました。この制度は、高断熱の窓等の改修工事に対して、定額の補助金が交付されるものです。

 

先進的窓リノベ事業は、1,000億円という予算の規模や、補助率1/2相当等の定額補助という内容から、リフォーム業界内ではかなり話題を集めました。そして今年度もその後継事業である「先進的窓リノベ2024事業」について、さらに予算規模が拡大して、募集が開始されています。補助率ではなく、窓の断熱性能や工事方法、窓サイズによる定額補助の制度で、実質的な補助率がとても高い制度であるため、とても軽い費用負担で、住まいの断熱性能向上を図ることができるのです。

今年はさらに「予算規模」が拡大!

この制度を担当する環境省の地球温暖化対策事業室の加藤啓司係長によると、昨年度の予算総額は、合計1,000億円で、戸建住宅は900億円、集合住宅は100億円と、戸建と集合住宅で予算枠が分けられていました。そして、最終的な予算の消化率は、戸建住宅で約90%、集合住宅で約98%となり、当初の想定に近い成果を挙げることができたと考えている、とのことです。

 

昨年度は、補助額の高さが注目を集め、受付開始直後から申請が殺到したため、内窓の受注数が急激な需要に対してサッシメーカーの供給能力を上回り、内窓の納期が通常時に比べて伸びる時期もありました。また、工務店やリフォーム会社においては、予算の早期消化を予想し、年度途中で窓リノベ事業の活用を前提としたリフォーム工事の受注を控える動きも見られました。そのため、最終的には予算のすべてが消化されないという結果になった模様です。

 

加藤係長によると、今年度は、大手サッシメーカーも供給体制を強化していると聞いており、予算額もが1,350億円と増額されたことから、積極的に事業の活用を検討してほしいとのことです。さらに今年度の大きな制度の変更点として、玄関扉の断熱改修も条件付きで補助対象になっています。

 

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