なぜか蔓延している太陽光発電に対する誤解
太陽光パネルの設置は売電価格が下落しているので、
これらの誤解に対して、東京都はホームページで説明しています。また、東京大学工学系研究科准教授の前真之氏が、自ら各方面の専門家にヒアリングを行った結果をまとめて、「太陽光ファクトチェック」として、公表しています。
今回は、太陽光発電に関するありがちな誤解に対して、東京都および前先生の回答を基に、適宜筆者が補足して質問に回答する形で説明していきます。
再エネの普及により、買取のための再エネ賦課金の負担が増えているのは事実です。ただし、そのほとんどはメガソーラーなど大規模な太陽光によるものです。住宅用の10kW未満の太陽光の影響は比較的軽微(図表1)であり、金額はすでにピークアウトしています。固定価格買取期間が10年と短く、また最近は買取価格が引き下げられたこともあり、住宅に太陽光発電が普及したとしても、再エネ賦課金への影響は大きくないものと考えられます。
技術の進歩により、2020年においてすでに太陽光発電は住宅用も含め、他の電源とそん色ない経済性を有しており、2030年にはむしろ他電源よりも安価となると予測されています(図表2)。
太陽光発電の経済性検討においては、一般的に発電容量1kWあたりの発電量を1,000kWh/年とする場合が一般的ですが、経産省のゼロエネルギーハウス(ZEH)の実績では、ほとんどの都道府県で1,000kWh/年を上回る発電ができています。太陽光を載せた住民の人の多くは、発電量とコスト削減効果に満足しています。
なお、資源エネルギー庁と一般社団法人環境競争イニシアチブによる「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス実証事業調査発表会)2021」によれば、ZEHの補助対象住宅のPV(太陽光発電)の創エネ量は⑧実績値が⑤設計値を大幅に上回っています(図表3)。
太陽光発電も通常の設備と同じように、運用している間に効率が低下します。現状では多くのメーカーが、「システム保証」を10~15年としており、この期間に発電ができなくなった場合はメーカー負担で修理されます。発電量に対する「出力保証」は15~25年が一般的です。直流の電気を交流に変換する「パワコン」は10年程度で交換するのが一般的ですが、屋根に載せる「パネル」の方は数十年にわたり利用できると予想されます。
2017年4月のFIT制度改正により、メンテナンス(保守点検)が義務化されており、定期的な点検により発電量が維持されることが期待されます。
住宅屋根載せにおいて一般的な発電容量である5kW分の太陽光パネルの重量は300kg、設置架台の重量は100kg程度で、屋根に載る重量は合計で400kg程度です。瓦屋根の重量は4000kg程度あるので、太陽光パネルによる追加重量は大きくありません。通常の耐震設計で問題ありません。
なお、新築や既存住宅のフルリノベーションの場合は、太陽光パネルを設置する前提で許容応力度計算を行い、耐震性能を確認すれば全く問題はありません。
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