写真提供:えぬぷらす一級建築士事務所

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回のテーマは「建築基準法改正」。2025年4月から施行される法改正により、耐震補強や断熱・気密リノベーションを行うことが難しくなりそうだといいます。リノベーションを考えている人には心穏やかな話ではない事の真相を解説していきます。

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断熱・気密フルリノベの増加傾向に水を差す建築基準法改正

2025年の4月から建築基準法の改正により、来年4月以降、耐震補強や断熱・気密リノベーションを行うことがとても難しくなりそうです。というのは、改正建築基準法の施行後しばらくは、かなりの混乱が予想され、フルリノベができるのはいつになるのかわからないという事態が起こりそうです。

 

リノベを考えている方は、間違いなく急いだほうがいい状況です。

官製不況で「中小工務店の倒産ラッシュ」が始まる?

かつて2007年に、姉歯事件に端を発した建築基準法改正によって引き起こされた「改正建築基準法不況」という官製不況が起こりました。姉歯建築設計事務所の構造計算書の偽造の発覚により、同様の問題の再発を防ぐために、建築基準法が改正され、新たに構造計算適合判定制度が導入されました。また、建築確認や完了検査が厳格に運用されました。

 

このときは、法施行の準備不足で建築確認・検査の実務に関するガイドラインなどを示したのが法施行日の直前になり、構造計算を厳格にするための大臣認定プログラムは施行日を過ぎても完成していませんでした。さらに厳格すぎる新規定が審査日数の長期化を引き起し、住宅着工数が激減しました。それにより、倒産する住宅会社が増加し、建材メーカーなどにも悪影響がおよび、不況を引き起こしたのです。

 

2007年度の実質経済成長率は当初見通しの2.0%増が1.3%増へと下方修正されています。当時政府は、実質経済成長率の0.7%の下方修正分が主として建築基準法の改正に基づくものであると認めています。

 

今回、もしかすると、この時の不況を大きく超える深刻な官製建設不況が起こるかもしれない状況にあります。

そもそも断熱・気密フルリノベとは?

断熱・気密フルリノベとは、通常の水回りやクロスの張替え等のリフォームにとどまらず、断熱・気密性能と耐震性能の向上を伴う改修工事のことを言います。一般的には写真の様に、柱・梁等の構造材をむき出しの状態(スケルトン状態)にして、耐震補強・シロアリ対策、床(基礎)・壁・天井(屋根)に断熱材を十分に施し、同時に気密処理も行って気密性能も確保します。

 

築40年以上の築古の既存住宅でもフルリノベにより、一般的な新築住宅よりも耐震・断熱・気密性能を高性能にできるということを知らない方は、意外にまだ多いようです。

 

【図表1】
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