今、安易に家を建てると「資産価値激減」の可能性…これから日本の住宅が「快適になる」ワケ
日本の住宅に「高気密化」が必要な4つの理由
「住宅の改正省エネルギー基準の解説」(財団法人 建築環境・省エネルギー機構)によると、気密性を高めることが必要な理由は以下の4つとされています。
①漏気負荷を減らし省エネルギー化と室内温度環境の快適性向上を図る
②壁体通気を抑制し、断熱性能の低下を防止する
③壁体内結露を防止する
④計画換気の性能保持
やや専門的な表現ですが、①は隙間風を減らすことによる省エネと快適性能向上、②は隙間風を防いで断熱の機能を維持すること、③の壁体内結露を防止の重要性については、前回の記事『耐震性にも影響…「高温多湿の日本では、通風のいい家がよい」という“とんでもない誤解”』で解説したとおりです。
ここからは、④の計画換気の性能保持について説明したいと思います。
現在の建築基準法では、新築住宅には24時間換気システムの設置が義務づけられています。つまり新築住宅では、換気は基本的には24時間換気システムによって行われることが前提になっています。
また、『「冬の朝でも目覚めやすく、ほこりは減る」高断熱住宅に住んで“家事が楽になった”5つの理由』においては、高気密住宅は24時間換気システムがきちんと機能するため、ほこりが少なく掃除が楽であることも説明しました。
上記を踏まえてあらためて説明すると、新築住宅では、図表1の右側の図のように、24時間換気システムによって空気の流れをつくり、家全体を計画的に換気するように設計されます。ところが、気密性能の低い隙間だらけの住宅の場合、左側のように排気ファンの近くの隙間から給気することで「ショートサーキット」を起こしてしまい、計画通りに空気の流れができず、十分に換気されない場所ができてしまうのです。
低気密住宅では、換気が十分に機能しないため粉じんも排出されにくく、ほこりが増えます。そして、換気システムが計画通りに機能しなければ、当然、居住者の健康面だけでなく、家の耐久性にも悪影響を及ぼします。
矛盾するように思われるかもしれませんが、きちんと計画換気を機能させるためには、「十分な気密性能」が必要なのです。