(※写真はイメージです/PIXTA)

長期投資家の澤上篤人氏と、「四季報読破」の達人・渡部清二氏。プロの投資家として活躍する両者が、今後の市況予想について対談形式で紹介します。

大暴落が起きて大混乱になるのは必至…投資家にできることとは

澤上 最初に話しておきたいのは、70年代から80年代の前半にかけての世界的なインフレだ。インフレで金利がバーンと上がった。瞬間、15.8%まで金利は上がった。それが1983年からは、ずっと下がり続けてきたわけね。

 

もう一つあるのは、60年代の終わりから70年代前半にかけて、先進国中心に年金制度が整備されてきた。すごい勢いで年金の積み立てが始まったの。70年代後半からは積み立てが急に加速しだして、俺もびっくりしたもん。なんだこりゃ。すげえぞと。年金資産がどんどん積み上がり、それを運用するために株式、債券が買われるという展開となっていった(図表1参照)。

 

[図表1]米国株の復活の裏に年金マネー
 

うまい具合に金利も下がっていたから、年金が買って買って買いまくる。だから80年代からずっと40年、株式も債券も上がり続けていた。

 

渡部 そうですね。

 

澤上 過剰流動性もあった。[図表2][図表3]を見てもらえればわかるけれども、この40年間は世界中、立て続けに金融緩和をやってきた。過剰流動性と年金の資金純増による爆買い。それがこの40年、パラレルに株も債券も上がってきたベースだったわけ。

 

ところが、ここへ来て、インフレになって金利が上昇してきているから、「アセットアロケーションの切り替え」では、現金化のタイミングになってきていることは先ほど話したよね。第二に、年金資金そのものも、逆転を始めているということがある。年金の制度が整っているのは、先進国だけ。その先進国はどこも高齢化している。

 

だから9年、10年前から、毎年の積み立てよりも、支払いが多くなってきている。現在は、資金のプールが大きいから、年金資金が減少しているのが、あまり目立たない。しかし、はっきりと純減に入っているわけ。

 

日本は2009年からもう13年、年金資金の純流出が続いている。これはいずれ、効いてくる。

 

[図表2]大量のマネー供給の歴史

 

過剰流動性と年金の資金純増による爆買い。これが逆転に入っているのが現在の状況なの。今後、大暴落が起きて大混乱になるのは必至。しかし、その混乱のあとに、当たり前の、本質的な投資環境に戻っていく。普通に戻れば戻るほど、きちんとリサーチをして、良い企業を選ぶことができる渡部さんたちや我々の出番よ。

明治維新後に“2度”繰り返された、70年の「金利サイクル」

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

渡部 なるほど。私は金利を調べたことがあって、少なくとも明治維新後は、ざっくり30年上がって40年下がる。30年上がって40年下がる。そういう70年が2回あるんですよ。なので、そろそろ上がるところに来ているだろうなというのは、そのサイクル論でずっと感じていて。

 

澤上 サイクル論は面白いんだ。なんか理由があるようでないようで、歴史を見ると意外に当たるんだよね。不思議なんだ。

 

[図表3]歴史上に見られる経済のサイクル

 

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※ 本記事は、澤上篤人氏・渡部清二氏の著書『本物の長期投資でいこう! 40年に一度の大チャンスがやってくる』(かや書房)より一部抜粋してお届けしています

本物の長期投資でいこう! 40年に一度の大チャンスがやってくる

本物の長期投資でいこう! 40年に一度の大チャンスがやってくる

渡部 清二 澤上 篤人

かや書房

「方法論よりも理念を語りたい。自分の好きな個別株に命をかけろと話したい」(序章より) 40年にわたる金融政策の末、ついにやって来るインフレと大暴落。そんな世界的な危機に対して、「さわかみ投信」創業者 澤上篤人と…

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