(※写真はイメージです/PIXTA)

賃貸借契約では“2年ごと1万円ずつ増額する”などと、定期的に賃料が改定される「賃料の自動増額特約」が定められている場合があります。これに対し、借主が「協議なしに自動的に家賃が上がるのは不当だ」として貸主に「減額請求」を行う場合、どのようなポイントを押さえておくべきなのでしょうか。弁護士の北村亮典氏が、実際の判例をもとに解説します。

借主による「賃上げ・賃下げ」交渉は法律で認められている

土地や建物の賃貸借契約においては、借地借家法により、賃料の増額または減額の請求が認められています(土地については、借地借家法11条、建物について借地借家法32条)。

 

この規定は、強行法規とされており、たとえ、契約書で「賃料は増額(または減額)しないこととする」と定められていたとしても無効であり、賃貸人または賃借人は増額または減額の請求ができることとなります。

 

借地借家法は、賃料の増額または減額の請求ができることの条件として

 

「土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、または近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき」

 

と定めています。

 

ここで、前提問題となるのは、「増減請求の当否及び相当賃料額を判断するにあたり、基礎とすべき賃料および考慮すべき経済事情の変動等の期間はどのようなものであるのか」という点です。

 

たとえば、賃料の自動増額特約があるような場合、すなわち、賃貸借契約が締結されてから、3年ごとに賃料が自動で増額する特約が定められているような場合に、賃借人側で地代の減額請求をしたいと考えた場合に、基礎となる賃料および経済事情の変動期間は

 

・契約締結時点の賃料額と、その時点からの経済事情の変動を考慮するのか

それとも

・特約で最後に増額された時点の賃料額と、その時点からの経済事情の変動を考慮するのか

 

ということが問題となります。

 

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次ページ借主による「減額交渉」の対象期間は、「契約締結時点」か「特約で増額された時点」か…裁判所の判断は

※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを、北村氏が再監修のうえGGO編集部で再編集したものです。

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