今回は、一人ひとりの社員に「利益意識」を持たせる方法について説明します。※本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏の著書、『経営者の財務力を一気にアップさせる本〔補訂版〕』(東峰書房)の中から一部を抜粋し、図を徹底活用した貸借対照表・損益計算書の見方をご紹介します。

明確な数字を見ていなければ「利益意識」は持ちづらい

“「このままでは利益が出ない!」、「もっと生産性向上を考えよ!」、と、社員には日頃からやかましく言うんですが、いくら言っても、響かないんですよ……”

 

と、グチをこぼされる経営者がおられます。

 

“どうしてウチの社員は危機感がないんですかねぇ……”

 

となるわけです。

 

“ところで、社員はウチの利益や生産性をわかっているんですか?”

 

と質問します。

 

“朝礼や会議で業績を概ね伝えていますから、そりゃあわかっているはずですよ!”

 

このような答えが多いです。

 

“えっ?それじゃあ採算表などの資料は見せていないんですか?”

 

と言うと、

 

“採算表までは見せていないです。そこまで見せる必要ありますか?”

 

とか、

 

“数字だけ一人歩きして、間違った使い方をされては困ります!”

 

と言われる方がいらっしゃいます。

 

心のどこかのホンネの部分で、

 

“利益がどれだけ出ているか、原価がどれだけか、知られたくない”

“彼らがみたって、どうせわかりっこない”

 

という思いがあるのを感じるときがあります。

 

しかし、社員にしてみれば、明確な数字を見ていないのに、

 

“利益意識を持て!”

 

と言われても、ピンと来ないのは当然です。

グラフで会社の財務状況を見せて「現状把握」させる

社員は社員で、

 

“数字を見せないのは、きっとそれなりの利益が出ているんだろう”

“あれだけ頑張っているんだから、儲かっているだろう”

 

と思いがちです。経営者の思いとは、まったくことなります。だから、経営者の言葉が届かないのです。

 

社員に危機感を持ってもらいたいなら、その現状を、明確に示してあげることです。P/L(損益計算書)だけでも、本連載にあるようなグラフで見せればよいのです。細かな勘定科目までなくても構いません。

 

全体を大枠でつかんで、売上高、売上総利益、経常利益など、ポイントとなる数字は具体的に社員に伝えてほしいですね。

本連載は、2015年4月30日刊行の書籍『経営者の財務力を一気にアップさせる本〔補訂版〕』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

古山 喜章,井上 和弘

東峰書房

数字が苦手な人にこそ読んで欲しい! 本書では、会社経営にまつわる数字を読み解き財務力をアップさせる方法を解説します。数字が苦手だからこそとことんわかりやすく理解する方法を見出した筆者。そのノウハウをお伝えし、経…

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