明確な数字を見ていなければ「利益意識」は持ちづらい
“「このままでは利益が出ない!」、「もっと生産性向上を考えよ!」、と、社員には日頃からやかましく言うんですが、いくら言っても、響かないんですよ……”
と、グチをこぼされる経営者がおられます。
“どうしてウチの社員は危機感がないんですかねぇ……”
となるわけです。
“ところで、社員はウチの利益や生産性をわかっているんですか?”
と質問します。
“朝礼や会議で業績を概ね伝えていますから、そりゃあわかっているはずですよ!”
このような答えが多いです。
“えっ?それじゃあ採算表などの資料は見せていないんですか?”
と言うと、
“採算表までは見せていないです。そこまで見せる必要ありますか?”
とか、
“数字だけ一人歩きして、間違った使い方をされては困ります!”
と言われる方がいらっしゃいます。
心のどこかのホンネの部分で、
“利益がどれだけ出ているか、原価がどれだけか、知られたくない”
“彼らがみたって、どうせわかりっこない”
という思いがあるのを感じるときがあります。
しかし、社員にしてみれば、明確な数字を見ていないのに、
“利益意識を持て!”
と言われても、ピンと来ないのは当然です。
グラフで会社の財務状況を見せて「現状把握」させる
社員は社員で、
“数字を見せないのは、きっとそれなりの利益が出ているんだろう”
“あれだけ頑張っているんだから、儲かっているだろう”
と思いがちです。経営者の思いとは、まったくことなります。だから、経営者の言葉が届かないのです。
社員に危機感を持ってもらいたいなら、その現状を、明確に示してあげることです。P/L(損益計算書)だけでも、本連載にあるようなグラフで見せればよいのです。細かな勘定科目までなくても構いません。
全体を大枠でつかんで、売上高、売上総利益、経常利益など、ポイントとなる数字は具体的に社員に伝えてほしいですね。