今回は、企業の財務力を強くする経営者の「B/S思考」について説明します。※本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏の著書、『経営者の財務力を一気にアップさせる本〔補訂版〕』(東峰書房)の中から一部を抜粋し、図を徹底活用した貸借対照表・損益計算書の見方をご紹介します。
P/Lでは資金繰りに影響する「支出部分」が見えない
P/L(損益計算書)図1だけでは、財務の状況がわからない、ということに、お気づきいただけたでしょうか。
【図1 P/L(損益計算書)】
B/S(貸借対照表)には、P/Lでは見えないけれども、おカネを必要とする項目があるのです。在庫、土地、投資、借入、などですね。資金繰りで行き詰まる多くは、これらの項目が原因です。中小企業の場合、その生命線は結局、カネが回るか回らないか、です。つまりは、資金繰りなのです。
その資金繰りに最も大きな影響を及ぼすのが、毎月の返済や、在庫を抱えた分の支払いなど、なのです。ところが、P/L思考では、ここが見えないのです。
”私はB/Sしか見ていません”
”P/Lは見ても、私には役に立ちません”
そう断言される経営者にも、たくさんお会いしました。その人たちは常に、”どうすればもっと強い財務体質になれるだろうか?”ということを、本気で意識しておられます。そして、P/Lは、黄色信号か赤信号にならない限り、チェックはしても、重箱の隅までつつくようなことはしないのです。
P/Lは、経営幹部たちに任せているのです。そして、当の自分は、B/S面積グラフを常々眺めているのです。
B/Sグラフなら、カネ回りが悪い原因を見つけられる
経営を進めるうえで、その根っことなる、カネや資産や負債の状況は、B/Sでしかわかりません。そして、それをさらに見やすくしたものが、井上式B/S面積グラフなのです。(図2)B/Sのどこをどうするかによって、カネ回りは劇的に改善されてゆきます。その具体例は書籍『経営者の財務力を一気にアップさせる本〔補訂版〕』にて説明させていただきます。
【図2 井上式B/S面積グラフ】
B/S思考の経営こそが、キャッシュを生み出します。より多くのキャッシュが残り、財務体質が強ければこそ、いかなるときにも、打てる手立てがあるのです。B/S面積グラフは、キャッシュフロー経営を支える、強い味方なのです。
財務に強い会社にしたいなら、B/Sの現状を常に把握しておこう!そのために、B/Sをグラフ化し、ビジュアルでとらえよう!
株式会社アイ・シー・オーコンサルティング
代表取締役
昭和40年 大阪府生まれ。
平成元年 関西大学卒業後、兵庫県の中堅洋菓子メーカーに入社。経理、総務、人事、生産管理、工程管理、広報など、主たる管理部門で実力を発揮。
平成17年 株式会社アイ・シー・オーコンサルティングに加わり、経営指導業務を開始する。
以降、長年の現場実務経験と、師匠である井上和弘(アイ・シー・オーコンサルティング会長)の《井上式経営術》を武器に、日々、中小企業の黒子としての経営指導に邁進している。
指導実績:財務改善、税務・銀行対策、労務問題改善、経営企画、管理会計、IT・システム化、事業承継など。
また、日本経営合理化協会主催「後継社長塾」(塾頭:井上和弘)、に塾長として参加し、後継社長の育成にも尽力している。
著者プロフィール詳細
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連載経営者の財務力を一気にアップさせるB/S、P/Lのグラフ化
株式会社アイ・シー・オーコンサルティング
会長
昭和17年大阪生まれ。早稲田大学卒。昭和59年大手コンサルティング会社を経て、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングを設立。企業再建の「名外科医」として、赤字会社の中に入り込み、社長や役員を叱りとばしながら思い切った手を果敢に打って短期間に収益を回復させる。経営指導暦は40年を超え、これまで400社以上を直接指導。オーナー社長のクセを知り尽くし、1社も潰さず、一部上場はじめ株式公開させた企業も十数社にのぼる。
著書:『儲かるようにすべてを変える』『カネ回りのよい経営』『後継者の鉄則』(いずれも日本経営合理化協会出版局)、『社内埋蔵金をお金にする知恵』(中経出版)『儲かる会社をつくるには、赤字決算にしなさい』(ダイヤモンド出版)など。
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