第三次産業と第二次産業の鈍化により成長率は低下
2023年4-6月期の実質GDP成長率は前年同期4.3%増1(前期:同6.4%増)と低下し、市場予想2(同6.0%増)を大きく下回る結果となった(図表1)。
4-6月期の実質GDPを需要項目別に見ると、内需の鈍化が成長率低下に繋がった。
まず民間消費は前年同期比5.5%増(前期:同6.4%増)と低下した。民間消費の内訳を見ると、交通(同30.1%増)とレストラン・ホテル(同23.3%増)、娯楽・文化(同20.1%増)が二桁成長となったほか、保健(同8.7%増)と教育(同7.0%増)、住宅・水道光熱(同6.1%増)が高めの伸びとなった。
一方、衣服・履物(同27.3%減)と家具・住宅設備(同2.7%減)が減少、民間消費全体の約4割を占める食料・飲料(同0.4%増)と通信(同5.0%増)は伸び悩んだ。
政府消費は同7.1%減(前期:同6.2%増)と減少した。
総固定資本形成は同3.9%増(前期:同10.9%増)と低下した。設備投資は同10.8%増(前期:同8.1%増)と加速したが、建設投資が同2.1%増(前期:同14.6%増)が失速した。
なお、設備投資の内訳を見ると、全体の約半分を占める輸送用機器(同16.9%増)と一般工業機械(同13.6%増)が二桁成長となったほか、前期まで低迷していた産業用機械(同6.6%増)が回復した。
純輸出は実質GDP成長率への寄与度が+0.9%ポイントとなり、前期の▲1.6%ポイントからプラスに転じた。
まず財・サービス輸出は同4.1%増(前期:同1.0%増)と加速した。輸出の内訳を見ると、財貨輸出(同0.9%減)が低迷したものの、サービス輸出(同9.6%増)が好調を維持した。一方、財・サービス輸入は同0.4%増(前期:同4.7%増)と更に鈍化した。
供給項目別に見ると、主に第三次産業と第二次産業の鈍化が成長率低下に繋がった(図表2)。
まずGDPの約6割を占める第三次産業は同6.0%増と堅調を維持したが、高成長だった前期の同8.4%増から鈍化した。内訳をみると、宿泊・飲食業(同28.3%増)と運輸・倉庫業(同17.3%増)が二桁成長となり、専門・ビジネスサービス業(同6.8%増)と教育(同6.4%増)が堅調だった。
しかし、全体の約2割を占める卸売・小売(同5.3%増)や金融・保険業(同5.0%増)、情報・通信業(同4.1%増)、不動産業(同2.8%増)が鈍化したほか、行政・国防(同2.4%減)は減少した。
第二次産業は同2.1%増(前期:同4.0%増)と鈍化した。まず製造業は同1.2%増(前期:同1.9%増)と停滞した。
製造業の内訳をみると、石油製品(同15.7%増)や輸送用機器(同12.9%増)は好調だったが、主力のコンピュータ・電子機器(同2.3%減)をはじめ、一般機械(同17.0%減)や化学製品(同4.9%減)、食品加工(同2.4%増)など低調な業種が多かった。また建設業(同3.5%増)と電気・ガス・水道(同4.8%増)が伸び悩んだほか、鉱業・採石業(同3.5%減)は2期連続で減少した。
第一次産業は前年同期比0.2%増(前期:同2.2%増)と低下した。漁業・養殖業(同13.7%減)は2期ぶりに減少したほか、コメ(同2.3%増)やバナナ(同0.7%増)、ココナッツ(同2.3%増)、トウモロコシ(同0.8%減)などの作物、家畜(同1.6%増)、家禽(同1.2%増)が低調だった。
1 2023年8月10日、フィリピン統計庁(PSA)が2023年4-6月期の国内総生産(GDP)統計を公表した。
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