日経平均33年ぶり高値でインデックス型は資金流出が目立つ
2023年上半期は、追加型株式投信(ETFを除く。以後、投信)に2兆2,000億円の資金流入があった。決して投信が売れなかったわけではないが、2021年と2022年は半期ごとに4兆円を超える資金流入があったことを踏まえると、流入額が約半分になった。
月別でみると2023年5月に2020年11月以来となる資金流出に転じるなど、売却が目立つ月もあった。投信販売はコロナ禍の中で極めて好調だったが、2023年に入ってやや陰りがみられる。
投信の資金動向を組入れられている資産別にみると、2023年の上半期は国内株式投信と国内債券投信で金額は小規模であったが、資金流出があった【図表1】。
国内株式投信はいわゆるアクティブ型の販売は堅調で流入超過であったが、インデックス型からの資金流出が大きく、全体では流出超過となった。インデックス型の国内株式投信では、日経平均株価が約33年ぶりの高値をつけるなど国内株式が大きく上昇する中で、株価上昇に伴って売却が膨らんだ。
国内債券投信については、資金流出のほとんどがラップ口座のリバランスの影響であり、一般販売されているものに限るとほぼ資金の動きがなかった。
その他の資産を組入れている投信は引き続き流入超過であったが、外国株式投信、バランス型投信、そして国内REIT投信は2023年上半期に資金流入が鈍化した。
外国株式投信には2023年上半期に1兆3,000円の資金流入があり、相変わらず組入資産別だと最大であった。
それでも2020年は下半期に2兆7,000億円、2021年は上半期に4兆3,000億円、下半期に4兆円、2022年は上半期に2兆6,000億円、下半期に2兆1,000億円と大規模な資金流入が続いていただけに、2023年上半期はこれまで2年半と比べて資金流入が鈍化した。
外国株式投信の中では、アクティブ型から2023年上半期に2,000億円の資金流出があった【図表2:左】。アクティブ型の外国株式投信は2020年下半期以降、半期で2兆円から3兆円も資金流入があり売れに売れていたが、2022年上半期に1兆円ほどに鈍化し、ついに2023年上半期は売却超過となった。
2023年上半期にも個別に売れていたアクティブ型の外国株式投信があったが、それ以上に2022年以前に人気を集めた投信の一部で解約が大きく膨らんだ。
アクティブ型の投信は2、3年で売却される傾向が過去から見られてきた。そのため2020年や2021年にアクティブ型の外国株式投信を購入した投資家が売却を検討しやすい時期であったと推察される。
さらに2023年上半期は米国株式など世界的に株式が堅調だったうえに円安が進行し、基準価額が上昇した外国株式投信が多かったことも売却を促進させたかもしれない。
その一方でインデックス型の外国株式投信には、2023年上半期に1兆4,000億円の資金流出があり、販売は堅調であった【図表2:左】。
ただし、インデックス型の外国株式投信は2021年から半期ごとに右肩上がりに流入額が増加してきたが、2023年上半期は2021年下期と同規模まで鈍化した。
インデックス型には引き続き積立投資の買付があったものの、基準価額が大きく上昇する中、アクティブ型と同様に売却する投資家もいたようだ。特にこれまで人気が高かったインデックス型の米国株式投信での売却が増え、資金流入の鈍化が顕著であった。
来年からの新NISAに向けた買い控えか
また、複数の資産を組入れているバランス型投信も2021年下半期から半期ごとに6,000億円前後の資金流入があるなど販売が好調であったが、それが2023年上半期は3,000億円とほぼ半減した【図表2:右】。
ラップ口座に用いられるSMA専用投信の資金流入も急減しており、ラップ口座の販売もこれまでバランス型投信と同様に好調だったが、鈍化したようだ。
このように2023年上半期は外国債券投信など販売が堅調なものもあったが、これまで売れ筋だったリスク性資産を組入れている投信の多くが2022年までのようには売れず、また一部で売却も膨らんだ。単に株式を中心にリスク性資産が堅調だった投資環境の影響や来年からの新NISAに向けて投資を控えたのかもしれない。
ただ、特に外国株式投信などでは、これまで売れ過ぎていた反動が出てきている可能性もあり、今後の投資動向が注目される。
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