スタバは時給が普通でも人気だが…アルバイトに「辞めたいと思われる職場」と「働きたいと思われる職場」の決定的な差【人事コンサルが解説】

スタバは時給が普通でも人気だが…アルバイトに「辞めたいと思われる職場」と「働きたいと思われる職場」の決定的な差【人事コンサルが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

アルバイトは、社員よりも少ない報酬で働いてくれる、貴重な労働力です。しかし一方で、多くの企業では、その離職率は正社員と比べて高いものです。採用にかかるコストや教育の手間などを考えれば、やはり離職率は下げたいところでしょう。本記事では、アルバイトに「辞めたいと思われる職場」と「働きたいと思われる職場」の違いについて人事コンサルの新村恭平氏が解説します。

アルバイトの離職率は「4人に1人」の割合

厚生労働省の調査によると、アルバイト従業員にあたる「パートタイム労働者」の令和元年1年間における離職率は26.4%となっており、およそ4人に1人以上が辞めてしまう計算となっています。

 

アルバイトを構成するのは、主に学生・主婦・フリーターです。このうち、学生は職場に不満がなくても、高校・大学の卒業や就職などの理由で離職するのが一般的です。また、主婦の場合も出産などを機に退職する方が少なくありません。

 

このように、職場側がアルバイトの離職率を低く抑えるためにどれだけ配慮したとしても、一定の割合で離職してしまう従業員は出てきます。逆にいえば、離職率を低く抑える工夫をしないと、アルバイト従業員の流出する割合は非常に高くなる恐れがあります。ゆえに、アルバイトの離職率が高い場合は離職の原因を把握し、改善していく取り組みが必要です。

アルバイトに「辞めたい」と思われる職場の問題点

たとえ職場側に問題がなくても、卒業や就職などの理由で一定割合の離職者が出てしまうことはすでに説明しました。一方で、それ以外の理由、つまり職場に不満を持って辞めてしまうアルバイトの数が多い場合、職場側の問題としては以下のようなものが考えられます。

 

1. 職場環境

2. 低賃金、低待遇

3. 労働時間、シフト

4. キャリアアップの難しさ

 

以下、順番に説明していきます。

 

1. 職場環境

職場環境が良好であることは、アルバイトが働くうえで大変重要な要素です。働きやすい環境が整っている場合、アルバイトは長期間働く意欲が高まります。逆に、劣悪な職場環境や人間関係が悪い場合、離職率が上昇します。パワハラやいじめ、セクハラなどの問題がある職場では、アルバイトが次々に辞めてしまいがちです。

 

また、過度の労働負荷や労働時間の長さも離職の要因となります。職場環境と人間関係の問題を改善し、働くスタッフの心身の負担を軽減することが、離職率を抑えるための基本的なステップです。

 

2. 低賃金・低待遇

アルバイトは正社員に比べて賃金が低く、福利厚生も充実していないことが一般的です。そのため、ほかの待遇のよい職場に転職するケースが多くあります。低賃金が原因で生活費が賄いきれない場合や、正社員との待遇格差による不満も、離職の動機となりえます。

 

アルバイトの基本給与を正社員並みに増やすのはさすがに難しいかと思いますが、「交通費の支給」や「休憩中の食費支給」などを実施するだけでも、アルバイト従業員にとって長く続けるモチベーションになるため、待遇改善を試みる価値はあります。働く価値を感じられる待遇を提供し、アルバイトが安心して長期間働ける環境を整えることが重要です。

 

3. 労働時間・シフト

アルバイトはシフト制で働くことが多く、勤務時間や休日が不規則です。自分の希望に合わない勤務時間や、休みが思うように取れないことがストレス源となり、離職を考える要因となります。また、シフトが直前まで伝えられないなどの理由でプライベートの充実が難しく、勤務し続ける意欲が低下してしまうこともあります。シフトの管理や労働時間への配慮が不十分な場合、離職率が上がる可能性があるので、注意が必要です。

 

4. キャリアアップの難しさ

アルバイトでは、正社員に比べて昇進やスキルアップの機会が限られていることが多いです。そのため、キャリアアップを望む人は離職しやすくなります。アルバイトのなかでも学生は卒業・就職と同時に離職する予定であることが一般的であり、また主婦も家計の足し程度の気持ちでアルバイトをしている場合が多いので、キャリアアップへの意欲が高い人はそこまで多くありません。

 

問題はフリーターのアルバイト従業員です。フリーターの従業員のなかには、正社員並みに長い労働時間の人も多く、また勤務歴でも長期間働いていて、並みの正社員より長い現場経験を持っている人もいます。

 

このようなアルバイト従業員のなかには、正社員並みのプロ意識が芽生えているケースも多く、キャリアアップを望むようになる傾向があります。成長や責任を求めるアルバイトにとって、自己実現の機会が少ないと感じることは離職の要因となります。

 

正社員への登用制度がない場合、長く勤めてきたアルバイト従業員もキャリアビジョンが描けないことに悩むようになり、「そろそろ辞めて次の道に進むことにするか」と考えるようになる可能性があるのです。キャリアアップの機会を提供し、「次のビジョン」を与え続けることもまた、離職率を下げる重要な要素となります。

 

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