「建設業界」は離職率が高いが…「賃金アップ」以外で長く働く人材を確保する、3つの解決策【経営コンサルが解説】

「建設業界」は離職率が高いが…「賃金アップ」以外で長く働く人材を確保する、3つの解決策【経営コンサルが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

建設業界は、日雇いや独立のイメージが強く、長期で働く人材を確保することが困難な業種です。そのような環境下で、長く働く人材を確保するには、どうすればよいのでしょうか? 株式会社識学の経営コンサルである新村恭平氏が解説します。

建設業界における特徴的な課題

建設業界は日雇いや独立のイメージが強くあり、ジョブ型雇用を長くから使っている業種です。そのため、職人たちは会社に所属しているという意識が希薄になりやすく、個人>現場>会社(雇用主)と考えるようになりがちです。

 

現場のリーダーは、メンバーにミスなく納期どおりに仕事してもらうために、高い人心掌握レベルが求められます。それができないリーダーは脱落するか人的な恐怖(威嚇、暴言、いじめなど)を使おうとしてしまうこともあります。

 

もしくはメンバーとの距離を縮めること(プライベートでの付き合いなど)で人心を掌握しようとしますが、逆に言いたいことが言いにくくなるというジレンマも聞こえてきます。そのため、長く同じ場所で働く人と職場を転々とする人が二極化している実態がありす。

 

職場を転々とする人は、居心地のよさ、給与額、技術取得などを求め動いていきます。長く在籍する人はもちろん貴重な存在ですが、成長に対して意欲が足りないといった課題を抱えるケースがあります。

 

高い賃金を支払えば人は集まりやすくなりますが、企業としても限界がありますし、給料だけが理由で集まった人材は長く続かないことも少なくありません。

賃金アップでは改善できない…根本解決のための3つのアプローチ

総括するとこの業界では、採用面、育成面で課題を抱える会社が多くあります。今回は、上記の課題に対し、課題を根本的に解決するための3つのアプローチを紹介します。

 

1.成長のロードマップを整備する

どの雇用形態を選択するかは経営者の判断になりますが、正社員雇用を選択するのであれば成長のロードマップを作成することは経営者としてまず最初に行うべきことです。

 

なぜなら、労働者側がなにをいつから学べるかわかることで、自身はいまなにができて、なにができていないかが明確になります。自身でなにを学ばなければならないか発見できる精度が上がることで、日々の仕事も迷いの部分は少なくなり、仕事に対する集中力が上がりやすくなります

 

成長のロードマップ(育成カリキュラム)は、「新人>半人前>一人前」のように三段階程度で作ることをおすすめします。

 

段階を明確にすることで、それぞれ取得する項目、期間、合格状態(テストや合格チェック項目の作成など)、学ぶために得られる学習権限(勉強会、チェック依頼など)も明確になり、社員が自分で今後のステップアップの見通しが立てられるようにすることが重要です。

 

2.上司部下のメリハリを付ける

「部下にちゃんと働いてもらいたい」「成長してもらいたい」といった思いから、趣味に付き合わせたり、飲み会を開催したり、プライベートを共有したりすることで人心を掌握しようとする上司層が一定数います。

 

うまくいくケースもゼロではありませんが、このマネジメントはあまりおすすめできません。なぜなら、趣味や業務外の時間を上司と充実させたとしても、仕事が充実していなければ部下は成長せず、最終的に離職していくということにもなりかねません。仕事を充実させていくにはメリハリを付けることが重要です。では、メリハリとはなにかというと、「やるべきことを定期的に明確にする」ことです。

 

たとえば、以下の順番で仕事を回してみるとどうでしょう。

 

1. 部下に成長のロードマップを教える

2. 部下に成長のロードマップに沿って週次の目標を設定する

3. 週次ミーティングを定期で設定

4. 週次ミーティングで部下に目標に対して報告させる→目標に対しての結果→結果ができていない場合のみ、いつまでにどうやって完了させるか行動変化の報告→次週の目標

5. 報告を全部聞いたあと、上司から確認修正承認→行動変化が不十分な場合はルールとしてこうすると指示を出す→教える必要があると判断した場合、この時間に教えるのでなく別時間で設定する

6. ミーティングの最後は必ず「今週行う仕事に対して相談したいことはないか」を問うこと

7. 上記の問いに部下が「ありません」と答えるまで聞き、ミーティングを終了させる

 

上記の順で仕事を回すことで、「任せること」「決めること」「教えること」が整理され、部下が自身で成長度合いを管理できますし、上司も部下の成長管理が可能になります。

 

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