(※写真はイメージです/PIXTA)

古くから使われている「坊主丸儲け」という言葉、現在では「お寺は税金が課されない」というイメージから使われていることが多いようです。しかし、そんなお寺も税務署に目を付けられることがあるようで……。本記事では、辻・本郷 税理士法人の菊池典明税理士が、住職の寺門さん(仮名)の事例とともにお寺の税務調査について解説します。

お寺は「税金」が課されない!?

「お寺は税金が課されないらしい」このような言葉をよく耳にします。しかし、実際は半分正解で半分誤りです。

 

今回ご紹介する寺門さん(仮名)は、数年前父が他界したことから急遽お寺の住職を引き継ぎました。若いながらも住職としての務めを十分に果たし、檀家さんからの評判も上々でした。

 

ところがある日、寺門さんあてに税務署から税務調査を行うとの連絡があり、これに応じたところ、思いもよらない指摘を受けてしまいました。寺門さんの身になにが起こったのか、その顛末をご紹介します。

お寺の住職は「サラリーマン」

まずは、冒頭の「お寺は税金が課されないらしい」というお話の詳細をご説明します。

 

お寺をはじめとする宗教法人は、お布施や寄付といった宗教活動から生じた収益については、法人税がかかりませんし、宗教活動のために使用されている土地や建物などの資産についても、固定資産税はかかりません。やはり、お寺は税金が課されないじゃないかと思われるかもしれませんが、まだ続きがあります。

 

宗教法人のなかには駐車場を貸す、物品を販売するといった収益事業を営んでいるケースがあります。これらの収益事業から生じた収益については、株式会社と同様に法人税が課されるのです。このように、お寺はまったく税金が課されないわけではなく、宗教活動以外については、株式会社等と同様に税金が課されているのです。

 

また、宗教法人から住職や従業員に対して支払われる給与については、これも会社員と同じく、源泉所得税が課されます。つまり、お寺の住職はサラリーマンなのです。給与から源泉所得税や社会保険料を控除したあとの手取り額が、日々の生活のための資金となります。

 

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