2.保険金支払までの期間の長期化が満足度低下に大きく影響
医療給付金の請求チャネルにおいて、コールセンター経由での請求が減少し、ホームページチャネルでの請求が増加している。これは給付金請求件数の急増により、コールセンターがつながりにくい中、生命保険会社各社がホームページからの請求を促した結果によるものと推察される。また、ホームページ上で「すべての手続きが完了した」割合は、前年に比べ+9ポイント増加しており、手続き面での改善が見られる。
一方、利用率の上がったホームページチャネルをはじめ、営業担当者、店舗窓口、コールセンター等、すべてのチャネルを通して、医療給付金の請求を行った人の総合満足度に大幅な低下が見られた。最も低下した評価項目は「保険金支払までの迅速さ」であり、「保険金支払までの経過報告の適切さ」が続く。
また、各社で差はあるが、保険金支払までの期間長期化は本調査でも確認され、生命保険会社へ請求書類を提出してから入金までの期間について「1ヵ月超」の割合が前年の1%から10%に増加した。さらに、支払予定日から遅れたという回答も、前年の1%から7%に増加が見られ、こういった保険金支払の遅延や不確定さが各社の総合満足度の低下につながったことがうかがえる。
一方で、給付金決定までの所要期間についてコールセンターや営業担当者から説明があった場合は、なかった場合に比べ、総合満足度が+69ポイント高いことも確認された。すなわち、保険金請求対応において、見通しのつきにくい状況下であっても、顧客への説明や経過報告は、顧客満足度の低下防止に有効であるといえる。
J.D. パワー Global Business Intelligence部門、常務執行役員 梅澤希一のコメント
「今回の調査では、新型コロナウイルス感染時の『みなし入院』に対する入院給付金の支払対象見直しに伴う駆け込みでの請求が大幅に増加するなか、ピーク時における請求手続きの各社の対応力を問われたことが大きなポイントであった。
生命保険会社へ請求書類を提出してから入金までの期間で「1ヵ月超」の割合は前年の1%から10%へ増加しており、月別ではピークの2022年9月は23%にまで達していた。
ただ、給付金決定までの所要期間についてコールセンターや営業担当者から説明があった場合には相対的に満足度が高いことから、こうした厳しい状況にこそ顧客への丁寧な説明が顧客満足度維持の観点からは重要であるといえる。
生命保険会社各社は新型コロナウイルスの感染者に支払う入院給付金の対象を限定するうえで『丁寧な説明が重要』としているが、今回の調査結果はその実効性について確認と改善点の洗い出しの必要性を示唆する内容であるといえる」
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