1.福岡オフィス市場の現況
1-1. 空室率および賃料の動向
三幸エステートによると、福岡市の空室率(2023年5月時点)は、新規大規模オフィスビルが空室を残して竣工した影響により5.2%(前年比+1.2%)に上昇した(図表-1)。
福岡市の空室率を規模1別にみると、「大規模4.5%(前年比+1.7%)」と「大型4.8%(同+1.7%)」が上昇する一方、「中型6.6%(同▲0.2%)」と「小型7.2%(同▲0.2%)」がわずかに低下し、規模間の格差が縮小した(図表-2)。テレワークの普及や働き方の変化等に伴うワークプレイスの見直しが進むなか、まとまった面積の募集では、入居テナントの決定に時間を要する事例が増えている。
全国主要都市では、オフィス床の解約や事業拠点の一部閉鎖などに伴い、空室面積が増加傾向にあり、成約賃料にも頭打ち感がみられる。2022年下期の福岡市の成約賃料は、前期比▲3.3%、前年同期比▲2.1%となった(図表-3)。
2022年の空室率と成約賃料の動き(前年比)を主要都市で比較すると、空室率は、上昇と低下で分かれる結果となった。また、成約賃料は、札幌市が上昇、東京都心5区が下落、その他の都市は概ね横ばいで、福岡市の空室率と賃料はともに前年とほぼ変わらずであった(図表-4)。
賃料と空室率の関係を表した福岡市の賃料サイクル2は、2012 年下期を起点に「空室率低下・賃料上昇」の局面が続いていたが、2020 年下期以降「空室率上昇・賃料上昇」局面を経て、現在は「空室率上昇・賃料下落」の局面に向かいつつある(図表-5)。
1 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
2 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
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