「母さんは年金だけじゃ暮らせない」月10万仕送りする長男
「母は年金が月11万円ほどしかなくて。施設もまだ早いし、一人暮らしを続けるなら足りないと思ったんです」
そう語るのは、都内在住の会社員・健一さん(仮名・58歳)です。父の死後、母・春子さん(仮名・83歳)は地方都市の実家で一人暮らしを続けていました。長男の健一さんは月10万円を仕送りし、生活費を支えてきました。
「弟夫婦は近くに住んでいますが、金銭的な援助はしていない様子でした。母も『あの子たちは大変だから』と言うので、僕が出すしかないと思って」
母の通帳は本人が管理しており、生活費の詳細までは把握していませんでした。「母のためのお金」という認識に疑いはありませんでした。
転機は、母が軽い脱水症状で入院したことでした。退院後の生活費管理のため、健一さんは母とともに銀行へ行き、通帳記帳をしました。
「そこで初めて見たんです。残高が数百万円あることと、毎月まとまった現金が引き出されていることを」
仕送りを続けていた約4年間、通帳残高は減るどころか増加していました。さらに、仕送りとは別に毎月数万円〜十数万円の現金引き出しが続いていました。
母は当初、「生活費よ」と説明しました。しかし健一さんが引き出し履歴の頻度と額を指摘すると、言葉を濁し始めました。
「母さん、このお金は何に使ってたの?」
しばらく沈黙した後、母は小さな声で言いました。
「…あの子たち、家のローンが大変でね」
近隣に住む弟夫婦に、母が現金を渡していたというのです。
「これは母さんの金じゃないか!」
健一さんは思わず声を荒らげました。自分が仕送りしていたのは母の生活費のためであり、その分が弟世帯の支援に回っていた事実に強い衝撃を受けました。
「僕は母の生活を守るつもりで送っていた。弟家族の援助のためじゃない」
