(写真はイメージです/PIXTA)

福岡のオフィス市場は、オフィス需要がコロナ禍で受けたダメージから回復し空室率と成約賃料は概ね横ばいで推移していたが、今年に入り、新規オフィスビル供給の増加を受けて空室率は再び上昇に転じている。本稿では、ニッセイ基礎研究所の吉田 資氏が、福岡のオフィス市況を概観した上で2027年までの賃料予測を行う。

 

2-3. 賃料見通し


前述の新規供給見通しや経済予測 、オフィスワーカーの見通し等を前提に、2027年までの福岡のオフィス賃料を予測した(図表-22)。


福岡市では、人口の流入超過が継続しているもののその勢いは鈍化しており、福岡県の就業者は、横ばいで推移しているが、「企業の経営環境」および「雇用環境」は、コロナ禍が与えたダメージから順調に回復している。以上を鑑みると、福岡市のオフィスワーカー数が大幅に減少する懸念は小さいと言えよう。


一方、福岡市では、「天神ビックバン」プロジェクトや「博多コネクティッドボーナス」を背景に、多くの大規模開発が進行中である。今後3年間(2023年~2025年)の総ストック量に対する供給割合は主要地方都市の中で最も高い水準になる。以上を鑑みると、福岡の空室率は当面の間、上昇傾向で推移すると予測する。


福岡のオフィス成約賃料は、空室率の上昇に伴い、下落基調で推移する見通しである。2022年の賃料を100 とした場合、2023 年は「98」、2027年は「86」への下落を予測する。ただし、ピーク(2021 年)対比で▲16%下落するものの、2017年の賃料水準「76」を上回る水準であり、リーマンショック後のような大幅な賃料下落には至らない見通しである。

 

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年6月21日に公開したレポートを転載したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧