(写真はイメージです/PIXTA)

福岡のオフィス市場は、オフィス需要がコロナ禍で受けたダメージから回復し空室率と成約賃料は概ね横ばいで推移していたが、今年に入り、新規オフィスビル供給の増加を受けて空室率は再び上昇に転じている。本稿では、ニッセイ基礎研究所の吉田 資氏が、福岡のオフィス市況を概観した上で2027年までの賃料予測を行う。

 

1-2. オフィス市場の需給動向

 

三鬼商事によると、福岡ビジネス地区では、「博多イーストテラス」や「福岡舞鶴スクエア」等、大型ビルが竣工したことに伴い、2022年末の賃貸可能面積(総供給面積)は72.5万坪(前年比+1.5万坪)に増加した。

2022 年末のテナントによる賃貸面積(総需要面積)は69.3万坪(前年比+1.5万坪)となり、空室面積は3.2万坪(前年比±0.0万坪)と前年末から横ばいとなった(図表-6、図表-7)。

 

 
 

 

1-3. 空室率と募集賃料のエリア別動向

 

三鬼商事によると、2022年末時点で賃貸可能面積が最も大きいエリアは、「博多駅前地区(23.9%)」で、次いで「天神地区(21.9%)」、「博多駅東・駅南地区(16.5%)」、「祇園・呉服町地区(15.0%)」、「薬院・渡辺通地区(12.0%)」、「赤坂・大名地区(10.6%)」の順となっている(図表-8)。


2022年は、賃貸可能面積が全ての地区で増加し、福岡ビジネス地区全体で+1.5万坪増加した。特に、「赤坂・大名地区」(前年比+0.5万坪)と「天神地区」(同+0.5万坪)で増加した。


賃貸面積も、全ての地区で増加し、福岡ビジネス地区全体で+1.5万坪増加し、結果として、空室面積は前年末と同水準となった(図表-9)。

 

 

 

エリア別の空室率(2023年5月時点)は、「赤坂・大名地区」が9.9%(前年比+4.8%)、「祇園・呉服町地区」が7.9%(同+1.9%)、「博多駅前地区」が6.1%(同+0.7%)、「博多駅東・駅南地区」が5.2%(前年比+0.8%)に上昇した一方、「天神地区」が5.6%(同▲1.8%)、「薬院・渡辺通地区」が2.0%(同▲0.3%)に低下した(図表-10左図)。



また募集賃料は、全てのエリアにおいて上昇基調で推移しており、特に、「赤坂・大名地区」(前年比+5.5%)の賃料が大きく上昇した(図表-10右図)。

 

 

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年6月21日に公開したレポートを転載したものです。

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