外国資本の国内不動産購入の動向(2023年第1四半期)
また、外国資本による2023年第1四半期の不動産購入総額は約1,370億円で、前年同期比▲42.1%と急激に減速した(図表2)。実は、2023年5月8日時点の公表では不動産購入総額は約1,700億円で、前年同期比▲28.2%と下落幅がやや緩やかであったが、その後の修正で約330億円が減少した。
前の期である2022年第4四半期の購入額をみると約500億円の増額修正がされており、一旦は2023年の取引と公表されたが、実際には2022年内の取引であったことが判明した案件が多かったようだ。
売り主の内訳を見ると、外国資本の売却が48.1%と、2022年通年の25.9%より大幅に増加している。諸外国では、12月が決算期末である会社が相対的に多いため、12月には財務改善目的の売却希望が生じやすい。
「2022年の決算期内で現金または売り上げを確保する必要があり、市場価格が下落していない日本国内の不動産を売却した外国資本(売り主)」と、「価格が安定した日本の不動産への投資姿勢を強めた外国資本(買い主)」が一定数あったものと推定される。
世界の不動産投資市場の動向と外国資本の拠点別の動向
世界の不動産投資市場をみると、売買額が急減速している。
2023年第1四半期の全世界の不動産売買額は2,108億ドル、前年同期比▲51.8%と、2022年第4四半期から2四半期連続の前年同期比大幅減となった。またエリア別ではヨーロッパ・中東・アフリカは▲64.0%、南北アメリカは▲57.8%であるのに対し、アジア太平洋は▲35.6%と比較的少ない減少幅となった。
国内不動産市場よりも世界全体のほうが取引額の落ち込みが大きく、特に海外の不動産投資市場および賃貸市場が停滞している国・都市に拠点を持つ外国資本には、昨年よりも不動産に投資しづらい環境になっているようだ。
過去の各資本の拠点国・地域別の投資額をみると、米国拠点の外国資本のシェアが全体の4割強を占めており、シンガポールと香港拠点の外国資本も以前から全体の各1割程度を投資している。また、ここ3年ほどで英国とフランス(5%前後程度)がシェアを増加させている(図表3)。
コロナ禍前後の動向を見るために、各国・地域の2018年の購入総額を100として、4四半期移動平均を比較すると1、コロナ禍で増加させた投資額を以前の水準に戻しつつあるのは米国とフランスである。
2023年第1四半期は、米国が138.0と、フランスが127.5となり、前年比、前々年比では低下しているものの、長い目で見れば投資姿勢が極端に弱まったわけではない。また、香港が693.2、シンガポールが905.8、英国が203.7と、国内不動産市場への投資姿勢を強めている(図表4)。
一方で、中国は5.8と投資を大きく減少させている。中国資本については、以前の直接投資から、いずれかの国や地域を経由しての投資へと資金の流れが変わった可能性がある。
なお、同じ国・地域でも、事業者の判断や運営するファンドの運用方針によっても投資スタンスが異なり、外国資本とひとくくりにした一様の傾向を見つけるのは特に難しい局面と考える。
1 例えば、2023年第1四半期であれば2022年4月1日から2023年3月31日までの合計と2018年の取引総額を比較した。
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